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特集

酸素に注目する湿害対策
“湿害”は畑で起これば田圃でも

“湿害”というと、単に土壌中の“水分”が過剰となって起こる障害のように考えられているが、実は主に土壌中の“酸素”が不足して起こる障害のことを指す。 湿害が起こりやすいのは、成長が盛んな根の先端部。そこでは盛んに細胞が活動していて、エネルギーがたくさん消費されている。だから呼吸量も多く、酸素もたくさん要求する。ところが、土の中に水が過剰にたまってしまうと、結果、土中の酸素が不足して根に酸素が行き渡らなくなってしまう。それで根が“湿害”、つまり“酸欠”を起こしてしまう。 “酸欠”という意味では、水耕栽培でも水田でも“湿害”が起こる。水耕栽培では“気相率”、つまり酸素をどれだけ根に供給できるかが、培地選択の重要な要素である。また、水を留めず水流を作る工夫をするのは、常に溶液中に酸素を送り込むためである。水耕栽培では“湿害”とは呼ばないが、その対策は水耕栽培の本質的な要素の一つとなっている。水田も大きな水耕培地と考えれば、酸素供給の方法を考えることが重要だと納得できる。実は畑の湿害対策もそこに基礎を置いているのである。 今回の特集では、“湿害の本質”について前半部で考え、その視点に立った“畑の湿害対策”を後半部で考えていきたい。最後に“湿害対策のための商品情報”を掲載しているので併せてご利用いただきたい。
『湿害』という誤解

【言葉による誤解】

 現象を言葉で表すことには、何かと問題があります。

 例えば『成人病』。その言葉だけでは年齢層を指摘した病と受け取られがちですが、それでは本質をついていないということで生活習慣病と呼ぶようになりました。

 土壌の現象の場合、『連作障害』という言葉にも再考の余地があります。

 そして今回のテーマである『湿害』。この言葉も文面通り受け入れてはいけません。


【水中根と湿気中根】

 『湿害』について考え直すにあたり、前提となる条件をいくつか挙げてみます。

 まず、葉茎と根の違いについてですが、根は光合成をせずに呼吸と栄養吸収をするということと、葉は光合成と呼吸をする組織であることを確認しておきましょう。

 次に、水に溶け込む酸素の量が、その水温によって変化することを覚えておきます。

 3つ目は、根の形態や機能が、置かれる環境によって大きく変化することも記憶しておいて下さい。

 具体的に言うと、根が栄養吸収と酸素吸収をするには、根毛というものが役割を果たすのですが、この根毛は周囲の環境において、

(1)液中溶存酸素がある場合(これは水耕栽培における根と考えて下さい)

(2)湿気中酸素がある場合(これは土耕栽培における根と考えて下さい)

のような、2つのパターンを生じます。

 そして、重要なことは(1)の環境、つまり水耕栽培のような根は環境適応力の幅が狭く、(2)の条件下での根は環境適応力の幅が広いことです。

 (1)を水中根(無毛根)、(2)を湿気中根(根毛根)と呼びます。


【『湿害』の起こる環境】

 このようなことを念頭に、『湿害』とは何かを考えていきます。

 『湿害』は畑において、水の滞っているところに発生します。

 この滞るとは、窪地になっている場合や、下層に粘質の層がある場合、あるいは表層・下層とも粘質が強くなっている場合などいろいろあります。

 その原因は、水の過剰や滞留にあることは勿論ですが、同じように水が滞留していても、湿害を激しく起こすところと、そうでないところがあることも事実で、その理由を考えてみます。

 畑の過湿のところ、つまり土の粒子間のすき間が水で満たされてしまっているような状態に根が存在すると、その根は前述の(1)のタイプとなります。

 この場合、酸素を湿気中からぐんぐんと吸収する根毛はほとんど発達していないので、吸収できるのは、ごく限られた空間である土壌孔隙中にある水に溶存している酸素しかありません。

 この酸素の吸収形態は、水耕栽培のように多量の水がそこの根の周囲を通過していくのであれば必要量を供給できますが、畑地土壌の孔隙中に存在する水の供給や移動は、水耕とは比較にならないくらい少なくなります。

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