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特集

酸素に注目する湿害対策
“湿害”は畑で起これば田圃でも

【高温による『湿害』】

 さらに、作物根の分布域がおおむね20cmぐらいの深さまでに集中していることも、障害の原因となっています。

 というのは、高温期の地温の上昇は、地表より20cmぐらいまでが、その影響を最も大きく受けるからです。

 地温( 根の温度)が上ってしまうことで、根は酸素の呼吸量を増加してしまいます。地温が10℃上昇すると、呼吸量は2倍になります。

 また、この温度上昇は、水に溶存する酸素の量を急激に減らしてしまいます。

 具体的に示すと、10℃で水に溶存する酸素が11.3ppmであるものは、20℃で9.2ppm、30℃では7.6ppmに下がります。

 以上の条件の悪化に加え、畑地改良のためや作物のためと称して施した堆肥や有機肥料が溶存酸素を使います。

 また、根の周囲の特別分布密度の高い根圏微生物が、酸素の必要量を更に増加させてしまいます。


【『湿害』は『酸欠害』である】

 以上のように、土の中を水が動かないで滞留すると、その環境に置かれた根は前述の要因から酸素欠乏を起こします。

 これを知っていれば、水田でも水の縦浸透がうまくできている圃場とそうでない圃場では、外見的には同じように水が張ってあるように見えても、土の中での酸素の事情は大きく異なることが理解できます。

 つまり、根のパターンが(1)の水耕タイプだと、温度上昇で根の呼吸量が増加してしまい、その上昇した水温で溶存する酸素の量も減り、酸素を吸収するのが大変困難な土中環境になるので、あとは土の中の水を移動させて根に酸素を送るしかなくなるのです。

 だからこそ、水の縦浸透を作ることが大切なのです。

 結論として、『湿害』とは、『酸欠害』と言えます。

 水耕栽培も湿害を起こす、水田で水が張ってある状態でも湿害をおこす圃場とそうでない圃場がある、この意識と感覚をもって畑の湿害に取り組めば、おのずと道は開けるでしょう。

(関 祐二)

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