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特集

酸素に注目する湿害対策
“湿害”は畑で起これば田圃でも

機械化による湿害対策

【深耕による排水性改善】

 だいぶ前のことであるが、九州の南端にポテトハーベスタのテストに出掛けたことがある。準備が整ったところで若干降雨があった。大した量ではなかったので、数時間もすればテストは可能であると考えていたが、驚いたことに圃場に行ってみると滞水状態でとてもテストどころではなかった。

 排水の良い火山性土壌であるのに何故と土壌を調べてみると、浅い位置に硬盤が形成されていた。つまり、長い間ロータリ耕を繰り返していると、浅耕であるだけに硬盤(不透水層)の形成が著しい。当然、排水性が不良であれば、バレイショを栽培することはできない。そこで大高畦を造成し、何とかバレイショを栽培していたというのが実状である。

 収量を聞いてみると、驚くほど低い。考えるに、ロータリで浅く耕起し、その土を集めて高く畦を作れば、バレイショを栽培することはできるとしても、基盤の排水が不良であっては多収をもたらすことはあり得ない。バレイショは過湿を特に嫌う作物である。

 しかも、土層は厚いにも拘らず、表層10cm程度しか利用していない。これでは土は疲弊しきっている。バレイショは意外と神経質な作物であり、土の力を必要とする。これでは健全な生育は望めず、病害虫も多いだろうと推測された。

 高畦栽培をする作物であっても、農業の基本は深耕であり、まず土層全体の排水性を良好にすることに心掛けなければならないであろう。また、深耕によって土の能力をフルに活用することができ、同時にそれは土の約半分を下層に休ませることであり、土の保全にもつながるものであることを忘れてはならないと考える。

 圃場の排水性を良好にすれば、作物は順調に生育し増収をもたらすが、そればかりではない。適期作業も可能になるのである。関係者にボトムプラウで深耕することによる排水性改善の重要性を説明したが、よく理解されたと思える。

 北海道で小麦を150ha程栽培している農家がいる。ここは粘質土壌が多いにも拘らず、湿害に遭うこともなく、旱魃害の例も聞いたことがない。しかも高位、高品質収量を誇るのは、徹底した土壌管理によるものと考えて差し支えない。

 普段からボトムプラウによる深耕に心掛け、場所によっては4~5年に一度の割合で80cm以上の深耕も行っているほどであり、手抜きはない。つまり、硬盤は一切作らない思想であり、作土には一切滞水させないとしている。

 深耕によって根圏域が広くなっていることから、旱魃害もあり得ない。少ない降水年であっても、水は下層に貯水される形態になっており、旱魃害を回避している。

 農場には普通の大型ボトムプラウのほかに超深耕プラウ、地下休閑耕プラウが揃えられていた。圃場の土質別、年次別にそれぞれ使い分けていて見事である。

 余談になるが、小麦は連作に強い作物とされていても、連作を続けていれば時に大きな連作障害に見舞われるものである。連作開始後の5~6年目、そして20年目、特にこの20年目の障害は大きいと一般に知られているが、この農場にはその兆しは全く見られない。これは徹底した独自の深耕理論に基づく土壌管理によるものと言える。

 深耕は湿害を回避するとしても、急激な深耕は必ずしも好ましくはない。下層土の多くは燐酸の吸収係数が大きいとか、石灰分やその他微量要素、有機物などの不足によって化学性が劣悪であることが多い。地力で獲ると言われる豆類などは、急激な深耕によって著しく生育が阻害されるので、注意しなければならない。

 現在は土壌改良資材が自在に使える時代であり、それなりの化学的手当てをすればよいと言えない訳ではないが、なれない場合は若干無理を伴う。その場合は、心土耕プラウを使うことである。

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