ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

農業経営者ルポ「この人この経営」

異業種で叩き込まれた当り前の経営感

静岡県といえば、いわずと知れたウナギの養殖産地である。土用の丑の日のみならず、日本人はウナギが好きだ。世界一のウナギの消費国にもなっているという。しかしこの日本のウナギ景気に目をつけた商社によって、中国などの海外からのウナギの輸入が盛んになり、現在では日本人の年間消費量約12万tのうち、国内生産はわずか約2万t強。現在は輸入品がウナギの相場を牛耳るようになっている。価格の下落などによって、国内のウナギ養殖業者は打撃を受け、廃業に追い込まれたところも多い。
 静岡県といえば、いわずと知れたウナギの養殖産地である。土用の丑の日のみならず、日本人はウナギが好きだ。世界一のウナギの消費国にもなっているという。しかしこの日本のウナギ景気に目をつけた商社によって、中国などの海外からのウナギの輸入が盛んになり、現在では日本人の年間消費量約12万tのうち、国内生産はわずか約2万t強。現在は輸入品がウナギの相場を牛耳るようになっている。価格の下落などによって、国内のウナギ養殖業者は打撃を受け、廃業に追い込まれたところも多い。

 ここに登場する柴田好弘さん(50)は、昭和50年代、ちょうど国内でウナギの養殖が最盛期になり始めたころに、家業を継いで養殖業を始めた。だが7年前、新たなビジネスチャンスにかけ、養殖池をすべてつぶして農業に転身する。目指したのはコメの専業農家だ。コメの主産地ではなく、消費地だからできる農業経営。その底流にはウナギの養殖業で叩き込まれた市場原理と経営ノウハウがある。


金額大きくてもウナギは博打


 30年前、ウナギの養殖は、家族経営で年間3000~4000万円の売上があった。当時施設園芸でも1000万円以上のところはほとんどない時代だ。「ウナギ景気に湧いて鼻息の荒い業者も多かった」と柴田さんは述懐する。

 しかし入る金額が大きい一方、支出も半端ではない。次の年に販売する稚魚のシラスウナギの仕入れ代金は1000万円以上かかるという。

 8月の土用の丑の日で利益を出して、11月の漁までに稚魚代を稼ぐ。手元に1000万円の利益が残っても、稚魚代が1500万円なら、逆に500万円の赤字だ。

 シラスウナギの人工養殖はまだ確立しておらず、その年によって漁で取れる天然稚魚の数量は大きく変動する。その相場は、1kg30万円から高いときには100万円まで高騰した。まさにハイリスク・ハイリターン、「博打のようなもの」と柴田さんはいう。

関連記事

powered by weblio