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特集

“安心”は「農水省ガイドライン表示」の外にある

原 まさに、そういうことなんです。今まではやれ共販だ、系統販売だとあったけれど、この仕組みのなかで、事前に信頼できる情報を交換できるBtoBの世界を作ってゆく。自分たちが自信を持ってマーケティングできるような最低限のベースのお手伝いをやっているわけです。

昆 量販店や外食から認証だ表示だと言われてエネルギーをすり減らしている農家を見ていると、それに対するカウンターとしてやれることはないかと思うのですが。

原 ひとつあります。持続可能な農業の一方には、持続可能な食生活というのがある。店舗で情報発信しながら、持続可能な食生活に消費者を自然に誘導するノウハウを持ったところとしか手を組むつもりはないんです。たとえば鶏なら、モモだけ何万本というようなビジネスはできない。ケンタッキー・カットは、胸ともモモともいわないで、1ピース、2ピースでしょう。そういうカット方法だからですよね。豚だって牛だって、ヒレとロースだけでできているわけじゃない。だから、そういう部位分けをやめればいい。

 今の消費者は「これがなになに用のお肉です。非常においしいです。どこどこシェフのお墨付きです」と言えば、どこの部位だかわからなくても買ってくれる。そういうノウハウを店でできるところと組む。たとえば、キャベツでも、安心システムでは種をまく前から計画を作るので、大豊作になるかどうか途中でわかる。そのときに、事前に信頼できる情報が交換可能であれば、外食でメニューを変えたり、量販店で特売を組んでもらえる。


量販店も外食も、意識は変わりつつある

昆 大手量販というのは、今まで本当に直線的な話しかなかった。うちではインフォマートを通じて約70社のお客さんとお付き合いがありますが、通販から小規模な飲食店から宅配会社から、いろいろです。そういうところは、量販店と対極の価値観が通じる。今までは、安くていいものがいつでも手に入るのが価値だと思っていたけれど、逆に不便であることを売り物にしませんかと。たとえば通販に出しているさくらんぼは、年によって収穫期がずれますよね。この日にほしいと言われても出せないことがあって、それがクレームになる。それを逆手にとれないか。インターネットで画像を一緒に流して「まだ実りません」と。もし庭にさくらんぼの木があったら、今年は遅いねとか、早いねとかいうのも楽しみじゃないですか。それを共有する流通チャンネルが作れるではないか。今までの流通のなかではマイナス要素だったのが、今の豊かな時代だったらプラスになる。

 お客さんはいろいろなんだから、自分でお客さんにしたいひとをお客さんにすればいい。それは小売側も同じだと思うんです。そういうバランス感覚で考えていくと、基準がどうこうという話も、農家はもっと楽に考えられると思うんですよね。

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