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家族と農業経営

家族経営協定が見失っているもの

なぜ農家にばかり家族経営協定が必要なのか?自分自身のそこそこ6~7年の取材経験と、出会った50人前後の女性たちの話を総合すると、「経営内容について話し合ったり、夫婦や親子間で取り決めをするのはおおいに結構。でもそれについて行政が口を出したり、協定書にハンコを並べたり、わざわざ調印式まで開くのは、余計なお世話じゃなかろうか?システムとしての家族経営協定は、なんかヘンだゾ」という結論に至った。
協定なんてつまらない


 なぜ農家にばかり家族経営協定が必要なのか? 自分自身のそこそこ6~7年の取材経験と、出会った50人前後の女性たちの話を総合すると、「経営内容について話し合ったり、夫婦や親子間で取り決めをするのはおおいに結構。でもそれについて行政が口を出したり、協定書にハンコを並べたり、わざわざ調印式まで開くのは、余計なお世話じゃなかろうか? システムとしての家族経営協定は、なんかヘンだゾ」という結論に至った。

 しかし、日本農業新聞では「家族協定はすばらしい」「協定万歳」の論調が主流。農家の人たちからも「そんなもんいらない」という声がちっとも聞こえてこない。私の認識不足か? もっと長い時間、たくさんの農家の人たちと直に触れ合ってきた人に話を聞いてみよう――。千葉県東金市の山武支庁に、坂口和彦さんを訪ねた。

 開口一番、

「基本的に私は、家族で協定をむすぶのは、つまらないことだと思っています」
 おお! 役所にこういう人もいるんだ。はるばる会いに来た甲斐があった。

 坂口さんは、長らく農業改良普及員として農家を訪ね歩いた後、「普及員の親玉」として指導に当たり、現在は山武支庁長を務めている人だ。穏やかな話しぶりの中に、役人らしからぬ鋭い見識と分析が伺える。

 坂口さんによれば、昭和36年の農業基本法施行以降、後継者対策の切り札として「親子農業協定」が推奨されるようになった。それまでの穀物主体の栽培から、野菜、畜産中心の「儲かる農業」へと、国全体が転換を図る際、親と子の経営を分離して、子どもたちの経営に後継者育成資金、農業改良資金などを投じてバックアップを図った。この流れは現実的には成功したけれど、父子協定そのものは実状に馴染まず、定着には至らなかったという。

「役所では、上からの命令で事業が決められます。真面目な人ほど一生懸命取り組むので、ミスマッチが起こってしまう。たまに『そんなことできねえ』という人がいてもいいんですが、『普及員の風上にも置けねえ』といわれてしまう。それが組織のツラいところです」

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