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土門「辛」聞

10月1日デビューの政策公庫 経営体質は変われるか!?

 そのスコアリング・システム。マクドナルドのパートさんが、仕事を始めたその日から、ハンバーガーを調理できるように作成したマニュアルのようなもので、街角アンケートに記入するような感覚で与信判断を下すものだ。これで金融機関が破綻したのがサブプライム問題の発端であることをご存知だろうか。新東京銀行も焦げつきを増やした。こんなシステムに頼るところがお役所感覚から抜け切れていない証である。

 政策公庫社員が、金融マン、いや金貸しとしての眼力なり目利き能力を高めることは絶対に必要なことである。薄っぺらいスコアリング・システムなど何の役にも立たない。そんなものにカネと時間を費やすなら、「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)でも毎週見ることをお奨めする。高給を取っているはずだから、小遣い銭で骨董趣味に手を染めるのも一計だ。偽物をつかめば、次に損はすまいと本物を見つけ出す眼力やら見極める力がついてくる。レギュラーの中島誠之助さんばりに「いい仕事してますね」と評価できるような立派な農業者を一人でも多く発掘することが、最大の職務である。


適正な融資は実現されるか

 政策公庫の限界は、経営の独自性がまるでないことだ。「政策金融機関」として、ある面では仕方がない面もあるが、監督官庁のリモコンが強すぎる。その代表例は、認定農業者を融資条件にしたことだ。しかも19年度からは稲作の場合、減反要件を取り入れた。

 農水省も半ば認定農業者制度の欠陥を認めているが、制度を中止する気配はない。どこに問題があるか。当コラムでも再三にわたり指摘したが、端的に言えば、家計簿もつけられない駄農(堕農とも呼ぶ)でも、こうやって農業経営を改善しますよという経営改善計画書を出せば、ほぼ自動的に市町村長が「認定農業者」の資格を与える。中には書類がまるで書けなくて役場職員に代筆してもらうケースもわんさかとある。

 こんなデタラメな制度を融資条件にする限り、農業者向け融資の焦げ付きは増えていくだけである。減反を義務付けた結果、返済不能に陥る農家を増やし、昨年はその救済のために緊急融資を実施している。それでもパンクする農家が後を絶たないという。

 制度では5年ごとに計画の進捗状況をチェックするとなっている。これも認定が取り消された話は滅多に聞かない。スーパーL資金などは、こんな者にも融資対象となる。

 取り消しがあるとすれば、「減反遵守要件」に反する場合ぐらいか。現行の助成水準では、減反に取り組めば、損をするケースが一般的。優秀な生産者は、米政策改革大綱の本旨に則り、また経営上の損得勘定を加味して、米をフル作付けすることが多い。減反に協力しない場合は、市町村長が認定農業者の資格を取り消すことができ、もし取り消されれば、その時点で公庫融資を繰り上げ償還というペナルティがある。

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