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なぜ、農家は目に見えないところにお金を使わないのか?
関 私は27年前に農業を始めました。もちろん当初は何も知らなかったわけですから、様々な事を知りたかった。ところが、いろいろな技術の後ろには物売りが付いているということが分かってきました。農家が技術を知りたいと考えた時、公的機関より民間の方がずっと接しやすいものです。一般的に農家は、公的機関で技術について話を聞くということに慣れていません。それで民間の方に行く。しかし、民間で技術だけを提供する人たちはゼロでした。理由は簡単で、それをやっても飯が食えないからです。しかし、ニュートラルな立場で技術を説明してくれる人たちを農家は一番欲しがっていると言ってよいでしょう。今の農業には、その一番欲しい人たちがいない。それで、その分野を立ち上げることができたらと考え、コンサルタントを始めたわけです。
しかし実際にやってみると、ある農家に技術的なことを理解して頂いて「では、技術料を下さい」と言うのが非常に成立し難い。ですので「こういう資材があるから」と売って、そこから教え賃をもらわざるを得ない。逆に今、資材を販売している人たちも、ただ資材を売るだけでは成立しませんので、コンサルティングの部分を付けて資材を販売しています。資材販売とコンサルティングのバランスという点で言うと、もっとコンサルティングのウエイトが大きくなって、両者がイコールぐらいになっていかないといけないと感じています。
農家は「目に見えないもの」に金を使わないと言われています。なぜそうなのか。私は一つに、彼らの行動パターン、人間関係が非常に単純であることにその理由があるのではないかと思っています。一般的な農家の行動を考えてみますと、まず自分の家から畑や田圃に通う。そして農協、肥料屋、役場農林課、だいたいこの3つぐらいが、畑や田圃以外に仕事で出入りするところです。その範囲を越えて動くのは、パック旅行ぐらい。これでは他の業種の人たちとのつき合いはゼロになる。
今の農業は他の業種とのつき合いを一番必要としているはずなのですが、それが一番できないのです。なぜ目に見えないものに金を使わないのか。それは目に見えないものから利益を得たことがないから、そしてその機会を自ら摘んでしまっているからなのだと思うのです。
コンサルを使いこなす人たちとは?
昆 藤田さんはファイナンシャル・プランナー(FP)として、様々な個人や企業の相談に乗っているわけですが、「目に見えないところにお金を使わない」という点で、関さんが言っているようなことをお感じになったりしますか?
藤田 「目に見えないところにお金を使わない」というのは日本人一般に言える傾向かも知れません。お金持ちなら払うかというと、実はそうではないのです。
私たちも「目に見えない」相談に対してお金を頂くというよりは、こうすれば現実の手取り収入がもう少し増えますよと提案し、その提案の効果に対していくらか頂いているのです。その結果に対して払うということでは、皆さん抵抗がないようです。
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