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特集

ここが違う!経営改善のできる人、できない人

何のために帳簿をつけているのか?


昆 他産業に比べて、農業はある面で至れり尽くせりの世界です。何につけ制度や補助金がある。さらに補助金を企業に還流させるために農家があるといった側面すらあります。関連企業もそれにどっぷり浸かっている。そこでは、農家がダシに使われている面すらあるのです。こういう制度や補助金があるというと、企業が先に動く。そしてこの制度を使えばこうなりますよ、と農家に勧める。結局、農家は借金の山になる。

 この至れり尽くせりの農業界の中で、敢えて農業のことに関係してこなかった藤田さんにコンサルティングをやって頂くことに価値があるのだと思うのです。他の業界にいるからこそ、農業界では何でこんな馬鹿馬鹿しいことをやっているのかと気が付くことがあるのでは…。

藤田 今回の農通コンサルティングと関連して、農家さんを訪問して気が付いたことがあります。ある農家のケースですが、自分の所得は赤字になっている。毎年100万円の赤字としましょう。ところが奥さんは、200万円の給料をもらっている。そして奥さんが健康保険と住民税と所得税を払っています。それが年間30万円は下らない。奥さんの給料を止めてしまえば、家庭のキャッシュフローとしては30万円増えるはずです。それに気付かずにそういったことが指導通りに行われている。指導する方も、青色専従者の給料は払うものという固定概念から離れられないでいるのです。しかし、青色専従者の給与変更はいつでも可能です。毎月の試算表を見ながら適正な給与を設定していく事が可能なのです。FPとして言えば、今年は払わない方が良いといったことは分かります。去年の実績と比べてとか、今の売上から見て先を読むということが必要になってくる。

 経営の中では常に「これ何のためにやっているの?」という疑問が非常に重要なのです。

 また、補助金を使って高く買うのか、要するに100万円もらって100万円でものを買うのか、あるいは補助金を使わず値引き交渉をして補助金以上に安くすることができるかといった交渉力も必要ですね。そういう交渉力と数字の計算が必要です。共同購入すれば値引き額が大きくなるというケースもある。補助金という数字に騙されないことが重要です。

 私は厚生労働省関連の助成金を扱うことが多いのですが、助成金を使うことで不要な設備投資をしたり、会社規模としては不可能な労働法上の整備をしなければならなくなったというケースもあるのです。私の場合は総勘定元帳を見せてもらい経理まで掴んだ上で、助成金をもらっても不自然な形にならないかチェックしながらやっていきます。ですので「助成金をもらうのをやめましょう」と言う時もあります。

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