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この直売所はなぜうまくいかないのか?

まる投げ

A県は果物と高原野菜の産地として有名なところだ。昨今の「地産地消」ブームに乗り、今までの季節だけ開くような直売所を圧倒する、最新版を作ろうという気運が盛り上がった。愛知、和歌山、岩手などでの大型の店舗で成功している事例も十分に研究した。そのミニ版を考えたわけである。建設場所は国道沿いの農協倉庫跡地。交通の便もよく、土地は800坪ほどある。
夢をかけたプロジェクト


 A県は果物と高原野菜の産地として有名なところだ。昨今の「地産地消」ブームに乗り、今までの季節だけ開くような直売所を圧倒する、最新版を作ろうという気運が盛り上がった。愛知、和歌山、岩手などでの大型の店舗で成功している事例も十分に研究した。そのミニ版を考えたわけである。建設場所は国道沿いの農協倉庫跡地。交通の便もよく、土地は800坪ほどある。

 しかし、今まで農産物直売所を作った経験はない。そこで建物のデザイン、売場のレイアウト、顧客調査などを店舗専門のコンサルタント会社に任せることにした。

 そのコンサルタント会社のB代表は上場企業の企画担当者として、大型商業店舗のデザインやホテル、パチンコなど娯楽系施設を今まで手掛けていた。農産物直売所の経験はなかったが、マーケティング理論に関しては定評があった。約3ヶ月かけて出来上がったビジョンと基本設計プランは実に見事なものであった。

 店舗の前には満開の花壇がある。駐車場はアスファルトを敷き、きれいに整備されている。建物は柱がなく広いフロアに木製の平台を並べた。農家の人が荷物を運びやすいように通路も広く取っている。入り口は大きく開放され、次から次へとお客さんを迎える。右手には大型のテントを設置し、雨の日でもパン、コーヒー、ソフトクリームなどを提供するイートインがある。家族で楽しく買い物をし、安らぎの場としての機能を盛り込んだ。

 駐車場は80台、毎日500人、売上高3億5千万円を予定。予算は建設以外に既存の建物の取り壊し、周辺の看板など、すべてをひっくるめて2億円。地域の活性化、組合員の収益向上など期待のプロジェクトであった。

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