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特集

農薬は誰のために?


登録失効農薬は他にもいっぱいあります


 今回問題になったもの以外でも登録失効農薬はたくさんあり、有効成分の数にして400種弱、商品の数にすると1万6000種以上に上るようです。ですから、他にも農家が知らずに無登録農薬を購入している可能性も捨て切れません。信頼できる指導機関や販売者・メーカー等に問い合わせれば良いわけですが、少なくとも袋や瓶に農薬登録番号が書いていないものは疑ってかかるべきでしょう。どの農薬が登録切れしたものであるかは調べればわかります。いちいち調べるのも煩雑ですが、現在ではインターネットを通じてそれらの情報を入手することが可能です。


ゆらぐ農薬の定義


 この事件を契機に、農家は一体何を使ったらダメなのかわからなくなってきました。そう言うと「登録農薬だけを使えばいいんじゃないの?」と言われそうです。しかし、作物にまいているのは農薬だけとは限りません。農薬を減らそうと思ったり、味の良い作物を作ろうと思って各種資材を試したり、口コミや雑誌などで勧められているものをまいたりしている場合も少なくありません。

 農薬取締法には農薬の定義があります。要約して紹介すると次の通りです。

「農薬とは、農作物(樹木及び農林産物を含む)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤を言う。防除のために利用される天敵は農薬とみなす。」
 この文面の「薬剤」という言葉が何を指しているかが判然としないのです。普通にイメージされるのは合成化学物質ですが、天然物は? 食品(たとえば牛乳とか)は? せっけんは? 水は? 肥料は? 木酢液など有機資材は……どこまでがこの範疇に入るのでしょうか。今回のダイホルタンにしても一部の農家は「栄養剤」として中身を知らずにまいていたのです。

 法律の文面を見ると名目として「植物活性剤」とか「保健薬」などと書いてあり、病害虫防除が目的でないと明言されていれば、農薬ではないので登録を取る必要はないように思われます。そういった曖昧さが今回のような無登録農薬事件を引き起こした遠因でもあります。


減農薬の落とし穴


 有機栽培や減農薬栽培で他の農産物と差別化しようという試みは一般的になっています。しかし、正しい減農薬を行っているかどうかは農家によりまちまちであると言わざるを得ません。正しい減農薬とは適正な肥培管理や土地にあった作物や品種の選定、有効な農薬の組み合わせを工夫した防除歴の採用、土着天敵や生物農薬や耕種的防除を組み合わせたいわゆる総合防除の実践などを指します。

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