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特集

農薬は誰のために?


 また責任を追及するなら、この農薬の登録を許可していた行政の責任はどうなるのか。いまの登録農薬の安全性も再点検すべきだろう。昨今のさまざまな問題は、書類だけで仕事をしていた行政の怠慢が起こしたとも言える。BSEの騒ぎも、国が輸入牛を積極的に奨励したために起きたことだ。行政の責任は重い。安全性の議論もなしに、ただ罰則を強化しても、闇のマーケットが拡大するだけだろう。


犯人探しでなく生産者全体の問題 なぜ農薬か消費者も考えてほしい(増川正志さん)


 山形では風評被害が深刻で、全ての農産物が影響を受けている。承諾書及び確約書、防除履歴を出さないと農協も市場も受け付けない。個人ごとにサンプルを取って分析調査もしている。

 また、無登録農薬の使用者名を公表するか否かが論議されている。でもそこまでする必要はないのではないか。確かにその農家の認識は甘かったが、悪気はなかったと思う。農作物の焼却処分や、周辺農家への賠償責任だけではなく、中には家庭崩壊に至った家族もあると聞く。犯人探しをして、その人たちだけが悪くて他は安全ですよ、としてしまっていいのか。

 農薬は生産者全体の問題だ。今回のことで、みんな農薬の安全性を非常に気にするようになった。2度とこういう問題を起こしたくないと思っている。

 法律が強化されれば、今度は生産者の責任も問われる。使っていいかの判断を自分でできる知識を養わなければならない。

 一方、生産者がなぜ農薬を使うのか、消費者にも考えてもらいたい。山形県でも作物毎に防除基準があって、その通りの農薬を使っていれば特に問題はなかった。だが、もっと収量を多くしたい、もっと大きく形を良くしたい、色を良くして見栄えを良くしたいという気持ちから、様々な薬剤を試すことは良くある。今回もそうした動機の人がいたと思う。

 こうした背景には、農産物の細かい規格、見栄えの良いものを好む消費者の志向がある。キュウリも曲がっていたり、虫の食いあとのあるキャベツは嫌がられる。でも自然の中でできるものは、優等生ばかりではない。形の良いもの、悪いものがあって当たり前だ。農薬の中には収穫前日に使えるものもある。痛みやすい果実など殺菌しておけば安心だからだ。でも生産者としてはそんなものは使いたくない。味や甘味が同じなら、規格や見栄えにあまりこだわる必要はないのではないか。生産者を責めるばかりではなく、消費者にもこの問題を考えてほしい。

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