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特集

農薬は誰のために?


 ただ、残留基準値の設定方法については、現状ではあまりに細分化され過ぎているという感が否めません。たとえば、コマツナやチンゲンサイといったものだけでなく、そこに京菜、シロナ、更に大阪シロナというように細分化されているのです。ここまで区切る必要があるのでしょうか。たとえば“菜っ葉類”など、もっと広い意味の作物に対して登録が取れれば、安全も担保されて労力も減ると思うのです。アメリカやEUでは、非常に合理的な動きで安全性基準は見直されているのですが、日本の場合、残留基準がどんどん細分化されていることで、コストや時間がより多くかかる結果となっているのです。これによって最終的に困るのは消費者であり、農家さんであるというのが今の状況です。

築根 同じアブラナ科野菜でも、ダイコン、キャベツ、ブロッコリーは、食べる部分が違うので、これらの登録は別のほうが良いと思います。しかし橋野さんがおっしゃった、京菜、シロナ、大阪シロナなどで作物残留に大きな違いはないでしょうから、登録は、菜っ葉類として同じグループにしても良いのではないかと思います。
昆 今お二人が話された内容は、本来であれば農産物の買い手企業の方々に知っていただかないといけない情報であるはずです。
伊東 そうですね。私が属している外食産業は、マイナー作物をメニューに載せる機会も多いですし、量販店に比べてよりマイナー作物の利用を推進していると言って良いでしょう。たとえばあるレストランが「ヨーロッパのこういったレストランでこんなメニューがあった。うちでも作りたいのでこの野菜を作ってくれないか」と農家にお願いするといったことも多く行われています。今回の一連の事件をきっかけにして、そこに対しての問題意識が少しずつですが業界の中で出てきているように感じています。
昆 今回の事件で、使用農薬の情報公開を生産者に求める量販店の声は更に大きくなっているようです。ただ個人的には、そういった要求を強く出しているのは比較的小さなスーパーや量販店が多いように見受けています。逆に、危機管理意識のある大手スーパーなどでは、このマイナー作物の問題などを含めてすべての情報が公開できる現状にはないということを認識しているのではないのでしょうか。
 そしてこういった状況にあることを消費者やメディアにも積極的に伝えていかなければならないのではないかと思うのです。農薬メーカーから生産者、流通・小売、そして消費者やメディアまでが同じテーブルにつくことが重要ですし、そのためのイベントを当誌としても展開していこうと思います。

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