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特集

農薬は誰のために?


築根「農薬は、現在34項目ほどの膨大な安全性試験、生態影響試験などをやって登録を取っています。だから安全です」と言うだけでは、今日のような情報化時代には、一般の方にはなかなか理解してもらえません。農薬業界としても「農薬のこういう注意点はあるけれども、こういうメリットがあって、総合的に大切です」というようなPRをしなければいけないと感じています。農薬擁護派とか反農薬派とか、一元的な対立ではなく、農薬のリスクとベネフィットについて、きちんと同じレベル、目線で、双方向の議論ができるようになることが大切だと思います。農産物の安定供給、食の安全性の確保は、日本国民共通の課題ですし、そのために農薬の役割、農薬の問題は、避けては通れないテーマであるはずです。
橋野 そのあたりを真摯に考えている青果流通の責任者がいまして、そこが指導しながら、我々メーカーに声をかけて協力を仰ぐという動きが出てきています。流通小売は、もともと数量・質・価格の確保さえできれば、どうやって生産されたかというプロセスは問わなかったのです。その後安全性に対する関心が高まり、それを問うようになってきましたが、その問い方がどうも一方的であったのではと感じていました。ただ、こんな例もあります。一時、環境ホルモンの疑いがあるということで、50数種の農薬がリストアップされたことがありました。すると、一方的にある小売業の人がリストを作って、その契約農家に対してこの農薬は使うなという一方的なメッセージを出したのです。もちろん契約農家としては、買っていただいているお客様がそういう指示を出しているのだったらとできるだけ努力したのですが、そのリストにはあまりにも重要な農薬が含まれていて、生産が不可能か、あるいは仮にできたとしても農産物の値段を上げざるを得なかったのです。そこで、生産農家は訴えました。「この指示に従えば値段はこれくらいになりますが、買ってくれますか」と。すると、小売業者は「それはおまえたちの勝手な言い分だろう。今まで通りの値段で出せ」と言ってきました。でも「それだと生産が不安定になりますよ」と。両者間に、そのような軋轢が数年あったようです。最近は、ようやくその小売の人も「こちらからは、こういう農薬で作ってくれという指示は出すけれど、そちらの言い分も聞こう」と対話が成立し始めたそうです。このような変化の兆しはいろいろなところに見えてきているように思えます。

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