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特集

農薬は誰のために?

臨時国会が始まった。本国会で提出される農薬取締法の改正案が可決されれば、無登録農薬の使用者に対して何らかの罰則が科せられる改正法となる見込みだ。本号の編集を行っている現時点では改正案の詳細は見えていない。しかし、農産物を食べる人たちへの責務を全うすることを念頭に農業経営を行う人たちにとって、無登録農薬の使用者に対してどの程度の罰則が科せられるのかといったことは、ある種些末な問題ではないだろうか。
 今回、事件の発端となった無登録農薬のダイホルタンは、人に対する発ガン性が指摘されていて、かつ、すでに日本の農薬メーカーのものは失効して何年もたっており、さらに、その成分内容もはっきりしない輸入ものであった。これを販売・使用していた人たちに何らかの責任が問われるのは、当然のことと言えるだろう。

 それより、今回の無登録農薬問題で表出した“農薬”に関わる事柄には、その責務を全うしようとするからこそ突き当たってしまうといった類の、もっと重要な法的・制度的問題が存在しているのではないか。

 本号では、前号に続き「農薬は農産物を食べる人たちのためにある」という視点を基調として、マイナー作物への適用拡大の問題、農薬とは何かという定義について、外食業など農産物需要者が農薬の適用拡大とどう関係しているのかなどを論じていく。


農薬取締法改正で改めて問われる「農薬」は?「適用作物」とは?(西田立樹)


無登録農薬問題の現状

 一連の無登録農薬使用に関する事件はテレビや新聞ではあまり取り扱われなくなってきました。メディア上では終息に向かっているように見えます。しかし、農業の現場では事件の後始末に追われていますし、消費者の農業に対する不信感が収まったわけではないことは言うまでもありません。全て今後の対応次第で良い方向にも悪い方向にも転ぶ可能性があり、まだまだやらなければならないことはたくさんあります。例えば青森県産のリンゴの市場価格は3割程度の下落となっており(その割には消費者価格は下がっていませんが)、その立て直しができて初めて終わったと言えるでしょう。

 そんな中、誓約書提出後に無登録農薬の使用が発覚する例が散見されるのは遺憾なことです。起こってしまったことは仕方がないとしても、このような形でさらなる不信感をあおるのは最悪であり、少なくともこのようなことだけはないように徹底していただきたいと思います。そのためには無登録農薬問題の解決について全体で前向きに取り組む姿勢を確認する必要があります。そうでなければ発覚を恐れて事実を隠蔽する人は今後も出てくるでしょう。

 前号で使用農家に自殺者が出かねない状況と書きましたが、やはり自殺者が出てしまいました。そうなる前になんとかならなかったのかと考えると残念です。お悔やみ申し上げます。

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