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特集

農薬は誰のために?

どうなる今後の農薬使用?

 現行の定義のまま罰則だけ強化すれば、極端なことを言えばベランダのプランターで育てているキクにアブラムシがついたので防除しようと思って、テントウムシをつかまえてきて放てば罰則の対象となるという解釈さえできるのです。常識的にそんなことは問題にならないとしても、実際の農業場面ではどこまでが良くてどこからがダメなのか判断するのは難しいことです。おそらく法改正では今回問題となったような無登録農薬を取り締まるのが目的なので厳しい縛りにはならないと思われますが、どこで線引きすることにするかを決めることは不可能です。

 確実に言えることは病害虫防除目的には登録農薬を適用作物に対して使用方法を守って使う以外のことは一切するなということだけです。恐らくそうでないものを使っても、今まで黙認されてきたもの、例えば木酢液や活性水や植物保健薬などが急に規制されることにはならないでしょう。しかし、いつ風向きが変わるかはわかりません。木酢液もお酢も昔は農薬登録されていて現在では失効しているという点で、今問題となっているナフサクなどと何ら変わらないのです。いつ「木酢液に発ガン性があった」とかいうデータが出て、使用していた作物が今回の梨やリンゴと同じ運命をたどるかはわからないのです。そんなリスクを侵す必要はないでしょう。

 また、自分が使おうとしている農薬が大丈夫なのか今一度チェックが必要です。最低限のこととして農薬登録番号が書いていない物は全て無登録農薬であることを覚えておきましょう。そういったものは使わないように。番号が書いてあっても登録切れしている可能性はあります。有効期限が残っていれば、まず大丈夫だと思って良いでしょう。不安なら販売店やメーカーに問い合わせればわかります。

 でも、それだけの結論では今まで通りの農業活動ができないのは明白です。今まで目をつぶってきたマイナー作物への適用外使用の問題はやはり避けて通れません。


適用外使用の問題はどうなる?

 マイナー作物(一般的に栽培面積1万ha以下を言う)は登録農薬が極端に少ない場合がほとんどです。特に最近栽培され始めた作物となると全く登録農薬がない場合もあります。その理由は適用を取るためにお金と手間をかけても、その投資を回収するだけの売り上げが期待できないというメーカー側の事情によります。ですから適用拡大のためにお金と手間がかからないようにすれば良いわけです。

 適用を取るためにはその農薬が対象作物に対して効果・薬害・残留性を試験で確認し、基準値を設定する作業が必要で、これには2~3年以上の年月と数百~数千万円の費用がかかります。その負担を軽減するため、国のマイナー作物等農薬登録拡大事業や、都道府県から費用を助成するような制度があります。それらの利用の拡大が望まれます。

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