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それはそれとして「みずほの国・防人応援隊」が、ニッポン農業の現状など把握できるわけがない。行革対象筆頭格の地方農政局が、自分たちの存在のアピールするのはこの時とばかりに、日頃かねて用意の安全牌ならぬ農政局御用達の農家代表を集めて話を聞いても、農業現場の実態など理解できるわけがない。
地方農政局が声をかける面々は、担い手協議会の会長、認定農業者の会長、農業委員会の会長、農業法人協会の会長、地元のお歴々といえば聞こえはよいが、補助金頼り、借金漬けの疑問符が付く農家も多くいる。
この「みずほの国・防人応援隊」は、先の参院選で自民党大敗の原因が、自民党の票田だった農村部が民主党に切り崩されたことと総括し、あわてて農民票を守るために送り出した「自民党の票田死守隊」である。隊長格の今村雅弘農林水産副大臣が10月12日に赴いた先は、東北農業の現状をそのまま映す秋田県横手市だ。今村副大臣、本コラムの恒例により、親しみを込めてイマムラ隊長と呼ばせてもらおう。
イマムラ隊長、市内3カ所で開催した意見交換会の場で、農民相手に場違いの身内批判の挨拶をしている。「小泉・竹中路線は都市部を中心にやってきたが、農村部だって自民党の支持基盤。農村部の人はついて来てくれるかと思ったら、そうではなかった」(秋田魁新報)
昨年9月の総選挙で郵政民営化に反対したイマムラ隊長は無所属で出馬という苦労を味わっている。見事当選を果たすも、すぐに「御免なさい」と誓約書を出して自民党へ復党。政策への信念度合いは、「下」程度か。
それはそれとして「みずほの国・防人応援隊」のミッションは、農家から不満を聞いてやることである。案の定と言うか、「米価が安すぎ、やっていけない」、「小規模農家を救ってもらえる手だてはないか」の不満のオンパレードに、イマムラ隊長は「今回聞いた話を参考にしっかりと検討していきたい」と応じた。
横手市の農家は、9割近くが1ha程度の零細規模である。農家家計に占める農業収入は1割程度。残り9割近くは、兼業先収入か、家族のパート収入、高齢農家なら年金収入などである。誰が見ても米価が下がって生活が苦しくなる家計構造ではない。米価対策や補助金ばらまきでは、零細兼業農家の救済はできない。
現場ご用聞き農政の賜物なのかどうかは知らないが、早速「米緊急対策」を打ち出してきた。44万tのコメを市場隔離することだ。これによって米価暴落を食い止めるのにいかほどの影響を及ぼすか。市場のことは市場に任せる。それが自由民主党の党是ではなかったか。
地方農政局が声をかける面々は、担い手協議会の会長、認定農業者の会長、農業委員会の会長、農業法人協会の会長、地元のお歴々といえば聞こえはよいが、補助金頼り、借金漬けの疑問符が付く農家も多くいる。
この「みずほの国・防人応援隊」は、先の参院選で自民党大敗の原因が、自民党の票田だった農村部が民主党に切り崩されたことと総括し、あわてて農民票を守るために送り出した「自民党の票田死守隊」である。隊長格の今村雅弘農林水産副大臣が10月12日に赴いた先は、東北農業の現状をそのまま映す秋田県横手市だ。今村副大臣、本コラムの恒例により、親しみを込めてイマムラ隊長と呼ばせてもらおう。
イマムラ隊長、市内3カ所で開催した意見交換会の場で、農民相手に場違いの身内批判の挨拶をしている。「小泉・竹中路線は都市部を中心にやってきたが、農村部だって自民党の支持基盤。農村部の人はついて来てくれるかと思ったら、そうではなかった」(秋田魁新報)
昨年9月の総選挙で郵政民営化に反対したイマムラ隊長は無所属で出馬という苦労を味わっている。見事当選を果たすも、すぐに「御免なさい」と誓約書を出して自民党へ復党。政策への信念度合いは、「下」程度か。
それはそれとして「みずほの国・防人応援隊」のミッションは、農家から不満を聞いてやることである。案の定と言うか、「米価が安すぎ、やっていけない」、「小規模農家を救ってもらえる手だてはないか」の不満のオンパレードに、イマムラ隊長は「今回聞いた話を参考にしっかりと検討していきたい」と応じた。
横手市の農家は、9割近くが1ha程度の零細規模である。農家家計に占める農業収入は1割程度。残り9割近くは、兼業先収入か、家族のパート収入、高齢農家なら年金収入などである。誰が見ても米価が下がって生活が苦しくなる家計構造ではない。米価対策や補助金ばらまきでは、零細兼業農家の救済はできない。
現場ご用聞き農政の賜物なのかどうかは知らないが、早速「米緊急対策」を打ち出してきた。44万tのコメを市場隔離することだ。これによって米価暴落を食い止めるのにいかほどの影響を及ぼすか。市場のことは市場に任せる。それが自由民主党の党是ではなかったか。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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