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農業経営者ルポ「この人この経営」

“コメの呪縛”からの解放

"米の呪縛"。それが稲作農家を思考停止状態に陥らせている」"呪縛"。〈まじないをかけて動けなくすること。転じて、心理的に人の心の自由を失わせること。【―が解ける】〉(広辞苑より)。
「"米の呪縛"。それが稲作農家を思考停止状態に陥らせている」

"呪縛"。〈まじないをかけて動けなくすること。転じて、心理的に人の心の自由を失わせること。【ーが解ける】〉(広辞苑より)。

矢久保英吾氏(64歳)は栽培2年目に入ったイチゴハウスの中でそう言った。

「業務用の契約栽培と直売。雪の八郎潟だからこそ魅力を出せる直売を組み合わせたイチゴ作りですよ。13.5kmの稲作を続けるためには乾田直播しかない。省力・低コストだけでなく品質も食味も収量も上がる。でも、大潟村では米しか出来ない、代掻きや田植えをしなかったら…、などと言って試そうともしない。試しても直ぐに挫ける。心の問題なんですよ。"米の呪縛"の中にいるとしか思えない。でも、米作りしかない経営に未来があるのだろうか?」

 そして、矢久保氏はその"呪縛"から解き放たれる手立てとして、レーザーレベラで均平する不耕起乾田直播に取組んでみるべきだと語る。

 矢久保氏は平成13年から13.5kmのほぼ全面積であきたこまちを不耕起の乾田直播で栽培している。すでに7年前からレベラの均平だけで代掻きをせずに田植えを続けてきた。

 平成13年からの連棟20aの高設土耕栽培によるイチゴハウスは、さらに今年、脚立のような水耕パイプを連ね、そこに7段のイチゴ苗を植え付けていくという最新式の立体型水耕ハウスを増設し、そこへもイチゴの植付けが始まっている。新しい水耕システムは同じ面積で旧来の4倍の株数で栽培が可能であり、暖房費のハンデを持つ雪国では大きな意味を持つ技術だ。過去に地床で5年間イチゴ栽培体験を持つ同氏であるが、水耕は初めてだ。

 矢久保英吾氏が語る"米の呪縛"という言葉を、同氏の歩んできた50年の農業経営者としての道を辿りながら考えてみたい。

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