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【江刺の稲】
時代の変化は最終コーナーに
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第83回 2003年01月01日
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時代がいよいよ曲がり角を曲がり切ろうとしている。それに合わせて農業政策の変更も最終コーナーにさしかかってきた。平成11年の農業基本法(「食料・農業・農村基本法」)改正。昨年4月には、BSE問題や食品の虚偽表示問題等の発生という事態の中で、"消費者に軸足を移した"と断りを入れた新しい農林水産行政指針「『食』と『農』の再生プラン」が発表され、さらに年末には、"水田農業政策・米政策の大転換を図る"ために「米政策改革大綱」が策定された。
印象的だったのは、減反の配分やその管理という農業利権が関わっているのにも拘わらず、自民党農林部によるさしたる抵抗も無いまま、与党・自民党が「米政策改革大綱」を通したことである。
時代はほとんど角を曲がってしまった。にも拘わらず、それに先立って進められてきた「生産調整に関する研究会」での農協の抵抗や、その後の各県農協での"抵抗集会"を見るにつけ、時代に取り残されていく農業・農協界を感じざるを得なかった。官僚たちがこれまでのパートナーであった農協を見限り、衣を着替えてしまったのに、未練たらしく"捨てないで!"と叫ぶ農協の姿が目立った、と言ったら怒られるかな。
しかし、農業界が考えるほど世間はその変化に注目を向けてはいない。なぜなら、それはあまりにあたりまえだからだ。
農水省が「『食』と『農』の再生プラン」において、わざわざ「消費者に軸足を移した農林水産行政を進めます」などというあたりまえのことを宣言したのも、これまでの農林行政が時代の変化を無視して農業界や農業関連業界に軸足を置いて行われてきたことへの反省であり、敢えてそれを宣言せざるを得ないほど、国民の批判が大きくなったからである。
印象的だったのは、減反の配分やその管理という農業利権が関わっているのにも拘わらず、自民党農林部によるさしたる抵抗も無いまま、与党・自民党が「米政策改革大綱」を通したことである。
時代はほとんど角を曲がってしまった。にも拘わらず、それに先立って進められてきた「生産調整に関する研究会」での農協の抵抗や、その後の各県農協での"抵抗集会"を見るにつけ、時代に取り残されていく農業・農協界を感じざるを得なかった。官僚たちがこれまでのパートナーであった農協を見限り、衣を着替えてしまったのに、未練たらしく"捨てないで!"と叫ぶ農協の姿が目立った、と言ったら怒られるかな。
しかし、農業界が考えるほど世間はその変化に注目を向けてはいない。なぜなら、それはあまりにあたりまえだからだ。
農水省が「『食』と『農』の再生プラン」において、わざわざ「消費者に軸足を移した農林水産行政を進めます」などというあたりまえのことを宣言したのも、これまでの農林行政が時代の変化を無視して農業界や農業関連業界に軸足を置いて行われてきたことへの反省であり、敢えてそれを宣言せざるを得ないほど、国民の批判が大きくなったからである。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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