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【特集】
顧客のニーズから逆算した“品種”選び
- 編集部
- 2003年03月01日
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種苗会社による売場開発に思う?
“食べる人”不在の青果流通と品種開発/三輪宏子
【コンプライアンスに反するのは、もっとも企業に忠実な社員?】
のっけから余談であるが、青果流通も含めて食品流通の現場を見ていると、知れば知るほど「おかしい」と思うことが多い。わけても、もっともおかしいと思うのは「この現状をおかしいと思う人が専業者であればあるほどいない」ということである。
最近つくづく思うのは、雪印乳業の事件に端を発し、次々に起こる食品関連産業の不祥事に見る担当者や責任者の人間像である。いや、「起こる」というよりも、(内部告発により)「発覚する」と言うべきだろう。それほどにおそらく日常茶飯事に、「消費者に見咎められさえしなければ(やっても)かまわない」という些細な事故や事件は現場レベルで頻繁に起こっているのだろうと察しがつくほどの発生件数ではないか。
不祥事に関わった担当者や責任者の大半はおそらく当該企業の中では優秀なというか、企業風土あるいは体質にもっとも忠実な人物であったろうと想像する。むべなるかな、偽証罪を問われた彼らは「会社に迷惑がかからないようにと思って」とコメントしている。
「コンプライアンス(法令遵守)」などという言葉に代表される通り、最近は「企業倫理をいかにして社内全体に行き渡らせるか」といった企業研修やプログラムが組まれて盛んである。
不祥事の発覚が企業信用の失墜はおろか、経営難から果ては倒産といった事態まで起こしかねない環境下にあるからで、未然防止のために社員の内部告発を奨励する企業もあるほどである。しかし今一度、根本的な問題を問うのであれば、「もっとも企業ロイヤルティ(忠誠心)の高い」社員ほどコンプライアンスから遠い存在となりかねないということを、企業経営者自身こそが認知すべき時を迎えているのだと思う。
【需要予測不在の青果流通】
前置きが長くなったが、1年前に某GMS(General Merchandising Store = 総合スーパー)の青果売場で、ある種苗会社の品種に絞った青果コーナーの展開を実験したことがある。種苗会社が自信をもって売場に出したい品種が消費者に本当に評価されるかどうか試してみたかったし、消費者が評価する内容を分析して、さらにおいしいものを種苗会社にも生産者にも作ってもらいたかったのである。
だから対面販売方式をとり、お客様の評価分析を生産者や種苗会社に対してプラスの評価もマイナスの評価も包み隠さず報告した。実験としての成果はあったと思う。お客様はより野菜のことを聞きたがったし、生産者も批判も含め、お客様の声を知りたがっていたことがわかった。しかし問題は、こんな「あたりまえのこと」が「実験」と称してしか出来なくなっているのが今の青果流通の現状だということである。何が「おかしい」のか。
産地も市場も消費地もあまりにも分断されすぎてしまい、肝心な情報が行き渡らないからである。流せばいいのは出荷量と価格の情報だけではない。供給過剰で明らかに「買い手市場」となっている時代に、相変わらず「作れば売れる」供給本位の流通構造である。
だからそもそも需要予測はおろか、お客様さえ不在のマーケットである。青果流通のみならずだが、まさに食品市場全体が機能不全そのものと言ってよい。
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