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特集

顧客のニーズから逆算した“品種”選び



トマト類

 トマト類は、どこのスーパーでも販売のフェイスが広がっており、売上増を予定する数少ない野菜品目のひとつである。ただし、トマトのアイテム作りはそれぞれの品種の特徴をどれだけうまく訴求できるかにかかっている。

 最近伸びの著しい「高糖度トマト」は、これからも伸びるだろうとされている。これは品種というより栽培法によるもので、大方は水を切って小玉に仕立て糖度を上げる。反収が低く手間もかかるだけに単価はかなり高い。高糖度トマトの需要者は、スーパー、デパートなどの小売店。まず、トマトアイテムを4~6程度は揃えたいこれらの小売業態における「品揃え商品」としての需要だ。その先の顧客層としては、単価に関係なく買ってくれる高齢者層が中心であり、一般消費者が好んで安定的に買ってくれていると考えてはならない。

 近年伸びてきた「桃太郎」などの“完熟系”トマトは、当初こそ“完熟で甘い”という評価もあったが、いまや「普通のトマト」となっている。産地の出荷予措を見ても、以前からの2分、3分着色での収穫・出荷が主流であり、“完熟で出荷”することなどない。もっとも普通のトマトは主にサラダとして“ドレッシングの味”で食べるのだから、ことさら甘さを強調する必要もない。“甘さ”は他の品種に求められている現状を見る限り、かえって“青ちぎり”を強調するなどの訴求も面白い。

「ミニトマト」は、“お弁当の友”として伸びてきた。幼稚園から小中学に至るまで、お母さんたちは毎日の弁当作りに四苦八苦。少しでも栄養価のあるものを、という思いと見た目のかわいさ、甘さが子供にも喜ばれる野菜として、“両者の利害”は一致した。通常のトマトと同様の使われ方をするのでないのであれば、ミニトマトのパック当たりの入れ数は、個数ではなくむしろ「買いやすい単価」を目安にするべきだろう。
 最近、新しいトマトアイテムとして注目されているのは「調理用トマト」である。サンマルツアーノやローマ種など、酸味がありゼリー質が少なく、細長い品種が出てきた。パスタなどのイタリア料理には欠かせない酸味とグルタミン酸の多いトマトは、安価な缶詰製品に代わる本格食材。ゼリー質が流れ出さない特質、スライスしやすい形状はハンバーガーなどのサンドイッチに向く。ただし、一般家庭での需要拡大はまだ時期尚早で、本格食材として業務用に売り込む需要を基本にしておかなければならない。輸入品の調理用トマトは4? 1000円程度で輸入されているのを参考に。

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