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江刺の稲

農業社会とコンプライアンス

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第85回 2003年03月01日

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最近、「コンプライアンス(Complian-ce)」という言葉をよく耳にする。英語の原義は「(命令に)従うこと」。特に企業活動における「法令を遵守すること」あるいは「自社の都合で嘘をつかないこと」という意味に使われる。言ってみればあたりまえのことを徹底していくための企業のあり方が問題になっているわけだ。さらに、それを徹底するために、自ら倫理基準を明確化するとともに社内外に役職員がそれを犯すことを防ぐ教育や監査の体制を確立しようということらしい。わざわざカタカナ英語を使わねばならないのか?適当な日本語はないのか?と言いたいところだが、考えてみるとそれは伝統的な日本人の論理の中からは出てこない考え方なのかもしれない。
 最近、「コンプライアンス(Complian-ce)」という言葉をよく耳にする。英語の原義は「(命令に)従うこと」。特に企業活動における「法令を遵守すること」あるいは「自社の都合で嘘をつかないこと」という意味に使われる。言ってみればあたりまえのことを徹底していくための企業のあり方が問題になっているわけだ。さらに、それを徹底するために、自ら倫理基準を明確化するとともに社内外に役職員がそれを犯すことを防ぐ教育や監査の体制を確立しようということらしい。わざわざカタカナ英語を使わねばならないのか?適当な日本語はないのか?と言いたいところだが、考えてみるとそれは伝統的な日本人の論理の中からは出てこない考え方なのかもしれない。

 コンプライアンスという言葉が使われ始めたのは、アメリカでは1960年代、日本でも80年代からだそうだ。特に90年のバブル崩壊後に企業不祥事が相次いで表面化する中で、証券・銀行・保険などの金融関連業界を中心に、それが企業活動の信用にかかわる危機管理のテーマとして認識されるようになったと聞く。しかし、アメリカの巨大エネルギー企業エンロンが不正経理を理由に破綻したのは2001年暮れであり、雪印食品の倒産も2002年2月のことである。語られてきたという割には、それも空念仏だったと言わざるを得ない。それがここ一、二年、“流行語”のように我々の目に触れるようになったのは、大企業や名門と目された企業が自ら発した“嘘”ゆえに、あっと言う間に投資家や顧客を失い倒産に追い込まれたからだろう。スネに傷を持つ自覚があればこそ、明日は我が身と危機管理の問題として真剣にならざるを得ない企業が増えたというのが真相であろう。

 人々は企業活動どころか政治や行政の言葉や振る舞いの中にある“嘘”の臭いを感じている。そして、政治や行政あるいは企業倫理に対する信頼の崩壊が、現在の社会の不安や経済の不振の原因になっているとすら言えるのだ。

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