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【チャレンジャーたちの農通インフォマート】
チャレンジャーたちの農通インフォマート
- 三好かやの
- 第20回 2003年03月01日
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「太陽美人」は宮崎空港の看板娘
宮崎県の玄関口、宮崎空港。その2階のフロアには、地元特産物を中心とした土産物が並んでいるが、その中にひときわ目を引くコーナーがある。
「太陽美人」と名づけられた中玉トマト。その隣には大型キュウリの「朝採れ巨人」も並んでいる。試食用のトマトの横には「本日の糖度8度」の立て札が。
搭乗前の女性客が、次々と試食のトマトに手を伸ばし、補充が間に合わないほど。一個食べたらもうひとつ食べたくなる。それが「太陽美人」なのだ。
「糖度はだいたい8~9度。10度までいくとかえっておいしくない。トマトは甘味と酸味のバランスが大切なんです」
と奥松健二さん(47歳)。中玉トマトの生産に乗り出して5年。食味の良さが評判を呼び、3年前から空港の売店に並ぶようになった。今や、宮崎の玄関口を代表する看板商品となっている。
生協ランキングで常に100位以内の快挙
奥松さんの家では、父と祖父の時代は葉タバコの栽培を手がけていた。ところが、70年代に入ると宮崎一帯は一斉に野菜のハウス栽培に突入。健二さんが高校を卒業した74年、
「自分はハウスをするつもりはなかったのに、もうハウスが注文してあったんですよ(苦笑)」
現在はハウスでトマト、キュウリ、バラ、イチゴを栽培。さらに水稲、水稲育苗、乾燥・籾摺りのライスセンターも手がけている。
宮崎市郊外の畑には、全長58mのハウスが70棟、ズラリと並んでいる。その規模もさることながら、驚くのはハウスの周囲に列をなしぎっしり停まっている車の数の多さだ。
「全部パートさんのものです。毎日40人くらいかな」
それだけ人の手を要する作物なのだ。
奥松さんが、中玉トマトの栽培に乗り出した5年前、まだ大玉、ミニトマトが主流で、新商品としての期待も高かった。当初はJTが開発した新品種に地域ぐるみで契約栽培で乗り出したが、販売実績が伸びず断念。奥松さんは、民間業者が開発した別品種を栽培し、独自に販売ルートを開拓。宮崎生協との取引がスタートした。
大玉ほど大きくなく、ミニトマトより食べ応えがある。切らずにそのままガブリ。手ごろな大きさもさることながら、食味のよさが評判を呼んだ。
「トマト嫌いの子が、うちのトマトを食べてから、食べられるようになった。そんな話をよく耳にします」
と妻の君子さん。生協が扱う商品は、食品、雑貨、その他など、全部で数万アイテムにのぼるが、奥松さんのトマトは5年前から現在に至るまで、競合商品がひしめく中、常に「ベスト100」に入るという快挙を成し遂げている。
「あるお母さんが、買い物の帰り道、子どもにトマトの袋を持たせて自転車の後ろに乗せていたら、家に着いた頃に全部なくなっていたと(笑)。ひとつ食べたら止まらなくなるんです」(君子さん)
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