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特集

経営責任を問わない“集落営農”の愚

 また昨年、韓国はチリとFTAを締結しましたが、果樹の輸入が増えることを想定し、今後は果樹生産量の3分の2は1ha以上の農家が担うようにし、零細および高齢農家は廃園を促すという政策を打ち出しています。
 日本と比べると韓国のほうが土地に対する執着は薄いという印象があります。したがって、大規模化も早く進むのではないかと思います。

本間 日本の農家の土地への執着は、やはり転用期待が大きいからだと思います。転用期待を排除するような手を打てば相当構造改革は進むと思います。「優良農地は転用できない」という政策を出したら、投げ出すでしょう。
 日本は山が多いので山以外の農地はいつでも転用される可能性があるわけです。日本に2割しかない平地を農業、工業、商業と住宅が奪い合っている。
 農地としての資産ではなく、土地としての資産という考えが大きい。いつか非農地として売れると期待しているのです。高度経済成長以降の土地神話がいまだに崩れていない。それが「先祖伝来の土地を守る」というロジックを作っている根本です。


農業経営に必要とされているのは、地域や国を超えられる自由な視野


昆 さきほど先生がおっしゃった市場という機能があるにもかかわらず、共同体論を持ち出すというのは農業だけに見られる特殊な考え方だと思います。よく、我々が語るメイド・バイ・ジャパニーズは危険思想のようにいわれますが、それは日本の農業を守るためにいっていることで、経営者自身が自ら国境を越え、村や農業界や業界という枠を越えていくことと同義で使っているのです。最後は一人ひとりの個人に収斂させていくべきであり、集落ではないのです。むしろ、農家を集落に縛り付ける論理のほうが結果として農業や村を滅ぼす危険な論理です。

本間 私も現体制がいつまで保つか疑問視しています。日本の農家が海外に出て行くという「メイド・バイ・ジャパニーズ」の考えに私も賛同しています。逆に、日本で農業をやるには誰がやってもいいという考え方もあります。日本は労賃が高いから国際競争力がないというなら、低賃金の外国労働者を雇えばいいわけです。それがFTAによって実現される可能性があります。
 いまFTAで人的交流、労働移動の自由というと、知的産業における頭脳の相互交流が中心に議論されているが、農業においても低賃金の労働力を入れられればコストダウンになる。労働移動が解禁になれば、農業構造は大きく変化するでしょう。そうしたときに営農集落だけでやっていくといっても、そうした低コストの集団には勝てないと思います。

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