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特集

リスク管理と食の信頼


 確かに、農薬はトータルで考えれば安全ですが、マイナス面もある。そこを隠してきたものだから、反農薬の立場にいる人たちがそのマイナス面だけを指摘してきたのだと思います。


【生産と消費をつなげ安心を作り出す努力】

昆 有機農業家などが行っている運動などでも、みな農薬の専門家たちを排除してしまっています。あるいは農薬について批判的な立場で語る人たちしか加えていない。そのように一方的な意見だけが取り上げられるのは生産者だけでなく、消費者にとってもマイナスなのではないかと思います。もっと多様な意見の出る議論の場がないといけない。

 農薬メーカーも今までのように、ただ農薬の安全性についての理屈付けをして、消費者をむりやり納得させるという形ではなく、安心を作り出していくことを真剣に考える必要があると思うのです。重要なのは、安心のための共通の場を作り出していくことにある。

城島 これは昨年の「暮らしの手帖」(10・11月号)に掲載されていたものですが、千葉大学の本山直樹さんと消費者の代表と編集者が、メダカが減った理由が農薬によるものなのか、他に原因があるのかを調査していました。そこでは、農薬の影響より、農業用水路がコンクリートで整備された影響の方が大きいという結論を出しています。編集者もそれまでは、とにかく農薬のせいだと考えていたが、調査結果を見て初めてそうではないことを確認している。これは一つの例ですが、それだけ皆さんの農薬に対する先入観が大きいことを示していると思うのです。

 消費者を含めた一般の方々の先入観を変えていくには、実際の農業の現場を見ていただくのが一番よいのではないかと私は考えています。

 この前もある農業法人の方と話したのですが、実際に圃場で「農薬はどうしても必要なのです。そしてこのような方法で散布しながら適切に使っているのです」と説明することが大事だとおっしゃっていました。そうやって農薬のリスク管理がなされているということを現場で見せていくことが大事だと思います。

深澤 私どもの組合員で組織している商品委員会の中に「食のトークトーク」といって、皆で食について考えていく場所があります。そこでは、肉、醤油、バター、農産物等とそれぞれ三人以上のグループを作り、テーマを持って研究していだだいています。「食のトークトーク」では、一年間の研究結果を発表していただきます。そこに生産者もきていただいている。組合員は産地に何度もうかがい、あるいは農薬メーカーに行って調査をするのです。これに対して、私どもが行動費を援助しバスを用意しています。バスは年間で200日稼働している。つまり年間200ヶ所に組合員の方々が訪れていることになります。これがあることで私たちが日頃お話ししていることが確かめられています。逆に、言葉で言っていても実際に行われていないとすぐにそれが判明します。そういった緊張関係が、組合員と業務をやっている私たちの間に存在することがよいことだと考えています。

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