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20日の説明会に参加した読者たちも、絶句した後に、「この大豆では今使っているコンバインでは株が切れないだろうし、刈れても詰まって仕事にならんなァ」と驚きの笑いが出た。ペクさんに対する質問の声がさらに真剣になり、やがて、もう増収したかのように顔の皮を緩めていた。
ペクさんが栽培方法として我々に示したのは、(1)石灰散布を確実に行う、(2)直播の場合は1粒播きか移植栽培にする、(3)双葉を除き葉が5、6枚以上出た段階で先端部を摘芯し、播種後30~40日位(花芽の付く前)で株を株丈の2分の1の高さでハサミか刈払機で刈り取る、(4)培土を確実に行い倒伏を防止すること等。後は通常行われることと変わらない。
しかし、240haもの大規模生産者もいた当日の参加者たちにとっては、摘芯の価値は知っていても労働面から現実的ではない。そこで改めて確認したところ、「倒伏を防止するために、播種後30~40日頃の剪枝作業だけは必須であるが、その他については株間を含め現在の慣行栽培に準じても充分増収する」との答えを得た。さらに、剪枝作業を省力化する方法として、レシプロタイプの刈取部を持つ刈払機(本誌でタナカ工業の製品を斡旋している)の現物を見せ、それによる作業の可否を確認したところ、問題なしとの回答を得た。
正直に言えば、昨年中から韓国農協中央会より記事掲載依頼と読者への斡旋を依頼されていた。しかし、韓国での収量調査(600~700kg/10a)の数字があまりにも我々が知っている現実と違い、また、その種子処理及び栽培技術についての紹介が抽象的であったために、僕自身がそれを信じられず、本誌上での記事紹介を控えてきたのだ。今回、読者諸氏を栽培実験にお誘いするに当たって、わざわざ「参加者の自己責任において」と断りを入れたのも、そのためであった。
しかし、このビデオを見て認識を改めた。確かに作ってみなけりゃ判らない。でも、仮に900kgや600kgにはならなくても、試してみるに十分価値のある技術であると思う。4月20日の処理に種子の調達が間に合わず参加できなかった読者も多かったことから、今シーズン中に再度の種子処理実験ができないか、ペクさんの了解を求めてみるつもりだ。ご関心がおありの方はFAX(03-3360-2698)にてお問合せ願いたい。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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