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今、資材流通業界は大混乱の様相を呈しているのである。一方の農協界もさまざまな動きがある。もともと農協界には系統メーカーというのがあって、そこの商品は全農を通じて農協に流れていくのが一般的なパターンだ。最近は農協が全農にサヨナラと商人系メーカーから直接仕入に踏み切るケースもある。いずれにせよ流通経路は短くという流れだけはハッキリしている。
ルート短縮に取り組むのはまだまだ少数派ではない。多数は、長年のしがらみや惰性に任せて現状打破に動こうともしない。数年後は、農業生産サイドと同じように相手の農家から相手にされず自然淘汰していくのかもしれない。
メーカーも、商社も、卸も、小売も、これといった手を打とうはしない理由は、先に述べた通り、構造的なことが理解できていないから手を打てないのである。最近よく喩えに使うのが、米価2万円時代に投入した商品を、米価1万円台になっても同じ手法で売ろうとしていることに誰もおかしいとは思っていないようだ。他の業界なら、売り先の所得減少に合わせた商品や販売方法があって然るべきである。農業資材業界には世間一般で通用する経営努力があまり見られないのは残念なことである。
どうしてこんなことが起きるのか。もともとコスト意識のない農家を相手に売っていたことに原因が帰着するのだろう。彼らはコスト意識がないので、米価が下がっても、黙って買い続けてくれるだろうと思っているように受けとれる。こんな客を相手にしていたから資材業者も不断の経営努力を重ねる必要がなかったのかもしれない。
これから起きることは、マーケット主導で農業の構造改革が起きてくるのである。いかにハチャメチャな民主党のバラマキ政策が実現しても、この流れに棹さすことは不可能である。バラマキ政策で零細農や限界農(借金漬けで倒産農家のこと)を温存しようとすればするほどコメ余りはいっこうに解消せず、やがてさらなる米価下落があって、それこそドカーンと農業現場から離れていくだけである。荒唐無稽な全戸補償を口にする国会議員もやがて永田町から放逐されるだろう。
ルート短縮に取り組むのはまだまだ少数派ではない。多数は、長年のしがらみや惰性に任せて現状打破に動こうともしない。数年後は、農業生産サイドと同じように相手の農家から相手にされず自然淘汰していくのかもしれない。
メーカーも、商社も、卸も、小売も、これといった手を打とうはしない理由は、先に述べた通り、構造的なことが理解できていないから手を打てないのである。最近よく喩えに使うのが、米価2万円時代に投入した商品を、米価1万円台になっても同じ手法で売ろうとしていることに誰もおかしいとは思っていないようだ。他の業界なら、売り先の所得減少に合わせた商品や販売方法があって然るべきである。農業資材業界には世間一般で通用する経営努力があまり見られないのは残念なことである。
どうしてこんなことが起きるのか。もともとコスト意識のない農家を相手に売っていたことに原因が帰着するのだろう。彼らはコスト意識がないので、米価が下がっても、黙って買い続けてくれるだろうと思っているように受けとれる。こんな客を相手にしていたから資材業者も不断の経営努力を重ねる必要がなかったのかもしれない。
これから起きることは、マーケット主導で農業の構造改革が起きてくるのである。いかにハチャメチャな民主党のバラマキ政策が実現しても、この流れに棹さすことは不可能である。バラマキ政策で零細農や限界農(借金漬けで倒産農家のこと)を温存しようとすればするほどコメ余りはいっこうに解消せず、やがてさらなる米価下落があって、それこそドカーンと農業現場から離れていくだけである。荒唐無稽な全戸補償を口にする国会議員もやがて永田町から放逐されるだろう。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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