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【特集】
農業特区と農外企業の参入で規制緩和をビジネス・チャンスに
- 編集部
- 2003年12月01日
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座談会「特区制度で、外食企業と生産者が共有する“農業”の夢」
【出席者】武内 智(ワタミフードサービス(株)常務取締役、(株)ワタミファーム社長)、石橋 明(JA山武郡市睦岡支所園芸部有機部会環境委員)、昆 吉則(『農業経営者』編集長)まとめ:秋山 基
昆吉則(「農業経営者」編集長) 今回、千葉県と山武町、北海道瀬棚町が農業特区を申請し、国の認可が下り次第、これらの地域でワタミフードサービスが本格的に農業生産に進出することになりました。これまでは企業の参入に対して、農業界には色々と抵抗や後ろ向きの反応が多かったわけですが、私たちはむしろ、これを農業経営者たちがビジネス・チャンスととらえることで、企業が持つ資本やノウハウを積極的に利用できるのではないかと考えています。まずは、特区申請に至った経緯についてお話しいただけますか。
武内智(ワタミフードサービス(株)常務取締役、(株)ワタミファーム社長)ワタミファームでは、これまでも有機農産物の生産を手がけてきましたが、農地法の関係で直接農地を借りることはできませんでした。そこで私自身が農事組合法人の理事になり、土地を借りて、ワタミファームは作業を受託する。そういう形の契約を結んで農業に入ったわけです。けれども農事組合法人では他の地域で農業ができません。農業生産法人としての株式会社が最も好都合なのですが、これもなかなか難しい。
そんな中で農業特区の話が出てきたのです。これはいいなと思って色々調べていたところ、千葉県から「特区に関心があるそうですが」と連絡をもらったのがスタートです。
昆 石橋さんとワタミとの関係はいつ頃からですか。
石橋明(JA山武郡市睦岡支所園芸部有機部会環境委員)4年ぐらい前、武内さんがまだ平成フードサービスにいた頃、JAの役員だった私が野菜を売り込みに行ったのがきっかけです。それで取引が始まりまして、2年ちょっと前に、ワタミとして千葉で有機野菜を作りたいという相談を受け、ファームの設立に向け、部会を挙げて畑探しを手伝ってきました。
【「特区」であっても、助成措置はない】
昆 実際に農業特区の制度を利用しようとすると、色々と問題や障害があったと思うのですが。
武内 「特区」なのだから、行政の助成措置などのメリットがあると思っていたら、これがないんですね。土地を借りるにしても、自分たちで交渉しなければならない。しかも役所には膨大な書類を出す必要があるし、地元の人たち、議員、様々なところに顔を出して了解を取り付けないと申請まで進まない。そのための会議、会議で1週間に何回会議をやったか分からないぐらいです。農業をやるのになんでこんな大変な思いをするんだろうと思いました。
石橋 まず行政の方に窓口も受け皿もありませんでしたから、大変だったと思います。地元には、企業が来るとなると、何らかの戦略があって産地に入ってきて、買い占めでも始めるのではないかという表面的な見方があるのも事実です。我々の場合は、特区の話が出る前から、武内さんとの付き合いを通じてワタミさんのことをよく知っていましたが、いきなり知らない会社がやってきて、「農地を貸してくれ」といっても、おそらく貸す人はいないでしょう。
昆 山武町の場合は、特区適用をきっかけに町の知名度を上げようとか、そのような意向や動きもあるのでしょうか。
石橋 行政の力を借りないとできませんが、そのような何か旗を掲げるような形が望ましいと思っています。「山武町に行けば、有機生産者がたくさんいる」といえるような。
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