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武内 私も実際に始めた6、7年前は、まともにやろうとしたら採算が合わないと感じました。それまではシミュレーションのしようがなかった。そこで、失敗は教育経費と考え、その中で得られるものがあればいいと思うことにしました。
ただ、経営面や事業計画については、従来の農業界も国もあまり考えてきませんでしたよね。国が億単位の借金をさせ、政策的に北海道に入れた酪農家たちは破綻しているし、現在の新規就農あっせんも、事業計画が立てられていないという点では同じでしょう。
マーケットニーズを察知して、欲しいと思われるものを作っていく。これが企業でやるにせよ、個人でやるにせよ、本来の姿だと思うのです。うちの農場では社員たちに「誰のための作物か」という問いかけをよくします。「それは店に来るお客さんのためだよ」というのが答えです。ですから私たちは農業をしながら、店に来るお客さんの顔を思い浮かべられます。ところが、普通の農家は農協に出荷すれば終わりだから、食べる人の顔を思い浮かべることができない。だから自家用と出荷用の農産物を分けるといったバカなことが起きたりする。
しかし、そんなことばかりいっていても仕方ないので、企業の組織力を活用できるところは活用し、全国的な動きを目指しています。それで農業の世界も少しは変わってくるでしょうし、農水省の補助金の使い道も変わってくるでしょう。そんなところにワタミファームが何らかの影響を与えられればいいなと思います。
昆 現在までに特区として認定されている例を見ますと、特区制度を利用しなくてもできることがあるような気もします。今までは農家が食えたから能動的に動く必要もなかったのでしょうが、これから大きな変化が現れてくるのではないでしょうか。
石橋 まず特区になることで話題性はありますよね。地元では、有機農業に関心を持ってくれる生産者がまだ少ないですし、ワタミさんとの情報交換などを通じて有機農業の輪を広げたい。生産者が増えれば、もっと色々なことに取り組みやすくなると思います。それと、せっかくみんなの力を集めて作った圃場ですから、後継者がいなくなったとしても、信頼できる企業に継承してもらえるような仕組みができるのはありがたい。財産としての農地ではなく、畑を作ってきた誇りを継承してもらいたいという気持ちは強いですね。
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