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地産地消からのワンランクアップをめざして

山形の食推進フェア

10月29日(水)、「山形の食推進フェア」が山形国際交流プラザで開催された。これは県で初めての地元農産物・農水産加工品展示見本市となる。見本市の出展者は113。当日の来場者数は1,000人に達した。本誌の「農通インフォマート」に参加している生産者も県外の会員企業とともにこのフェアに参加した。地産地消なのに、なぜ、県外企業が参加することになったのか?

地産地消‐理念と現実

 開会の挨拶で県の農林水産部長は「山形県は農業基本条例の中で、全国で初めて地産地消の推進を謳っている」と、今回のフェアが地産地消の取り組みの一環であることを説明した。

 山形県が地産地消を推進しようとしたそもそもの発端は、山形で生産された農産物が地元消費者の手に届かず、東京に行ってまた帰ってくるという不効率な流通を直したいということだったという。出発点は、消費者需要への対応に立っているのだ。

 現実には問題がないわけではない。食料自給率という点から考えると、米、果物は100%をはるかに超え、県内需要だけではさばき切れない。「地産地消だけではプロ農家は食っていけない」とは、よくいわれる言葉である。

 逆に、「自分の地域でサクランボを生産しているのだから、同じ県内でもヨソのサクランボは持ってくるな」という話も出てきているらしい。このような縄張り根性を見過ごすと、消費需要に対応するという地産地消の出発点から外れかねない。


フェアにも外部の風を

 こうした中、今回のフェアでは地産地消を謳いながらも、外部の風を取り入れていこうという工夫があった。当初、フェアは県内の食材仕入れ担当者向けの展示会だった。しかし、山形県農業会議が同会議が確保したスペースでインフォマート商談会とトークショーを追加したのだ。山形県内の農通インフォマート会員の生産者が店に立ち、農産物の営業を行った。

 トークショーでは「地場のマーケティング戦略‐食品産業と農業の戦略的提携」と題して、ワタミフードサービス(株)常務取締役の武内智氏と本誌編集長・昆が対談した。冒頭から「地産地消からワンランクアップするためにはどうしたらよいのか」という問題提起が飛び出す。「地産地消は自己確認運動として重要だが、相手に認知されてこそ、他と関わってこそ意味がある」と昆。「安心安全な食べ物とはワタミでいうと何だ?それが具体的にならない限り安心安全という言葉を安易に使うな、と社内でいっている」と武内氏。地産地消というテーマでトークショーに集まってきた聞き手にとっては、少しびっくりする内容だったかもしれない。しかし、メモをとったり、細かくうなずいている人も多い。

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