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土門「辛」聞

もはや予算も対策もなし。あるのは米政策改革大綱のみ

 両組織のメンバーがコメ販売で苦戦を強いられているのは、売れるコメづくりをしていないからである。彼らの視線は、絶えず行政と補助金にある。この面々から土作りの話など聞いたことがない。

 8月末、山形県で開かれた大規模生産者の集まりで素晴らしい生産者に出会った。宮城県のYさんである。名刺には「先行逃げ切り型稲作」と書いてある。これには思わず笑ってしまった。「後方追い込み型」稲作はどんなものか。一度Yさんに聞いてみたい点である。

 他のメンバーがカラオケに興じている間に、Yさんを旅館の外の居酒屋に引き出した。Yさんは、補助金のことも農政のこともまるで興味がない様子だった。終始、コメ作りの技術のことを熱っぽく語っておられた。そのレベルは、化成肥料主体の役所系試験場など及ぶべくもない。

 「Yさん、あんたの米を食べてみたい」

 酒席でこう話したら、早速コメを送ってこられた。思わず家族が顔を見やった。日本農業法人協会や全国稲作経営者会議の集まりなら、もっともっと彼のように、コメ作りの原点について話し合う必要があるのではなかろうか。

 米政策改革大綱は、Yさんのような生産者を一人でも多く活躍してもらうために、気鋭の農水官僚が世に問うた施策である。お馬鹿な民主党農業政策や、参院選惨敗でビビリバビリ・ブーの自民党に構うことはない。どうせ政治が何を言い出しても農家の淘汰選別はマーケットで粛々と進んでいくものである。

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