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特集

有機農業を通して考える農業技術とは何か


食べる人の土壌学 土壌診断勉強会inワタミファーム ―農業コンサルタント・関祐二が語る― 断面調査から始める実践土壌講座




化学的な面だけに偏らない土壌調査が必要
 最近「土づくり」の大切さはかなり理解されてきましたが、土壌学についてはほとんど活用されていないのが実情です。土壌学には2つの系統がありますが、その一つ、ドイツではもともと農地から税金を平等にとるために土壌学が開発され、化学的な面を重視しています。もう一つのロシアでは、雨量や温度により違う性質の土ができるという物理的な面に着目し、現場の土を調べる学問が発達しました。日本では、明治初めにドイツの技術が導入されたため、化学的な面に偏った傾向が強いと言ってよいでしょう。しかし、本来は両方とも必要なのです。土壌の性質には「物理性」「化学性」「生物性」があり、これらを総合的に見ていく必要があります。土壌断面調査は、作物が土をどのくらい活用できているかを示す「物理性」を調べるために行うものです。


土壌断面調査は自分の五感を十分働かせる
 土壌断面調査の地点では、同時に土壌化学分析のためのサンプルも採るため、周囲の影響の少ない平均的なところを選びます。掘り始めから調査が始まっていますので、スコップを入れた時の土の固さや土の臭いにも気を配ってください。60(株)ほど掘ったところで、観察する面を決めて滑らかにします。指で観察面を触って感触の違いを探ってください。感触の違う境から上が作物の根が利用している有効土層です。次に土を摘んで土性を調べたり、土の色を判定したり、土を縒って粘性を調べたりします。実際に何回もやってみてトレーニングを積むことで分かってきますから、他の人の土も触らせてもらうことが大事です。


きちんとサンプルを採らないと正確な土壌化学分析はできない
「土壌診断のためにサンプルを採ってきて下さい」と頼むと、表面の土だけを採ってくる人がいますが、これでは正しい分析結果を出すことができませんので、サンプルは正しく採らなくてはいけません。サンプルは土壌断面調査で見つけた上層(有効土層)と下層のそれぞれで採ります。上層と下層の土が混じらないように、また同じ層でも偏りのないように注意を払いながら採取します。採った土を袋に入れた後は、よく振って均質化し、分析する人が袋のどの部分の土を採っても偏りがないようにする配慮が必要です。土壌化学分析をする前には水を加えて2分間攪拌します。作物は水に溶けている養分を吸いますから、水に溶けている土の状態を調べることで作物の状態が分かるのです。こうしてきちんとしたサンプルができ上がります。これをpHメータ、ECメータにかけて測定します。

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