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先5年で30ha規模まで拡張。県も全面支援
大分県杵築市の農事組合法人カヤノ農産は大規模茶園の造成を進めている。3月に、2haの新規造成地に5万本の苗木の植栽を完了。河野杉雄組合長理事は「来年は13ha、再来年は13ha、3年後には10haほど新規に造成、植栽する予定で、5カ年で30ha規模の茶園を目指す」と話す。生産する茶葉は全量、飲料大手・伊藤園との契約栽培でペットボトル飲料茶「お~いお茶」の原料として出荷する。
今回の造成は昨年9月、伊藤園と大分県の間で締結された産地育成協定に基づき、「2010年までに同社の飲料茶原料を100ha生産できる県内新産地の育成を推進する」(県農林水産部・稲垣智之氏)計画の一環。「耕作放棄地が急増するなか、県としても新しい農業ビジネスを創出するために、機械投資や試験栽培の面で支援していく」(同)としている。
カヤノ農産は昨年9月に設立したばかりの農業生産法人。大分県日出町で建設業を営む(株)昭和建設工業によって産地育成協定を機に茶園ビジネスに新規参入するために立ち上げられた。河野組合長理事はもともと同社の工事課課長。農地造成工事の実績も抱負で、実家でも長年、茶園経営を兼業でしてきた経験を買われ、新法人の代表に選出されたという。
参入のきっかけは、「需要の安定した契約先があり、茶園に適した標高で水はけのよい耕作放棄地が確保できたことが決め手となった」(同社)こと。茶園管理が建設業の閑散期の雇用確保につながるほか、定年退職者の再雇用先として適している点も挙げる。経営面では、「土地利用型作物の農地造成には大きな初期投資が伴うが、建設業の設備やノウハウといった強みを生かせば、かなり低コストに抑えられる」(河野氏)。造成中の農地は、耕作放棄された桑畑がバブル期にリゾート開発候補地となり、買い手が付かぬまま雑木林となっていた。
契約先の伊藤園は、「短期間でこれほど大規模な造成が進んでいるのは、カヤノ農産の機動力と県のバックアップが大きい。引き続き、品種の選定や早期成園に向けた栽培技術などについて、当社のノウハウを伝えていきたい」(同農業技術部部長・荒井昌彦氏)と話している。
伊藤園では茶葉の安定調達を目的に、2014年までに全国で新規の大規模茶園総面積1000haを目標としている。大分県での産地開発は宮崎県2例、長崎県1例に続き全国で4例目となる。
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