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【今年の市場相場を読む】
この冬売り込みたい野菜類 カンショ/バレイショ類/ホウレンソウ/生シイタケ
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第150回 2009年01月01日
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カンショ この冬は焼きイモがトレンド。家庭オーブンで美味しさ提案も
【概況】 東京市場のカンショは、年間を通じてトップ産地である千葉が6割のシェア。これに続く茨城を加えると、上位2県だけで85%ものシェアを占める。夏場には徳島、高知などがシェアをやや拡大させるが、秋から冬は圧倒的に関東産地が供給を担う。近年は全体に入荷の横ばい状態が続いていたが、07年秋から千葉を中心として明らかな生産増が見られ、今年に入ってからも入荷増傾向は続いている。
【背景】 カンショの生産増は、ここ数年徐々に拡大してきた焼きイモ需要に対応してのことだ。最近の焼きイモのトレンドは「ねっとり・しっとり」系であり、その専用品種ともいえるカンショが次々に登場している。千葉では「高系14号」を増産のうえ「大栄愛娘」のブランド名で販売。茨城では同系統の「ベニマサリ」、鹿児島でも「安納芋」がそれぞれ生産拡大を見せている。こうした背景もあり、10月から早くも近年まれな相場高となっている。
【今後の対応】 この冬に稼動している焼きイモ機は約1600台。1日1台あたり10~15ケース(12本入り)を焼成するから、本数では約25万本、1本150~200円なら1日で4000万円になる。全店に焼きイモオーブンを設置して各店を競わせるコンテストまで実施しているイオンなどは、春先までに昨年の3倍の4億円を売ろうというのだからハンパではない。このフィーバーを利用したいもの。家庭のオーブンでも十分おいしく焼けることをアピールしたい。
バレイショ類 男爵主流でもスキマはその他品種。試食販売で焼き芋提案も有効
【概況】 東京市場のバレイショ類は「男爵」「メークイン」「その他バレイショ」の合計だが、ここ数年は確実に入荷増の傾向を示している。このうち男爵とメークの入荷はほぼ横ばい。増えているのはその他バレイショで全体の45%を占める。長崎、鹿児島などの九州産地からは「デジマ」「ニシユカタ」、北海道からは「トウヤ」「キタアカリ」「ホッカイコガネ」などの入荷増が目立つ。とくに08年は入荷増と単価安の傾向が顕著だった。
【背景】 冬場の中心は北海道産。加工・業務用については男爵に根強い人気があり、家庭用でも土物類は黙っていても売れる季節だ。ただ、イオンなどを中心に「キタアカリ」や「ホッカイコガネ」をサラダとして積極的に提案するケース、また「シンシア」や「レッドアンデス」「インカのめざめ」など、マイナーながらも差別化を狙う動きも見逃せない。外食のメニューでは、今年はカンショを使ったものが多いが、それだけにスキマ商品を求める意向も強い。
【今後の対応】 スーパーの店頭などで、焼くと甘くなる個性的な品種を中心に試食販売するケースが目立ってきている。生産側と仲卸などの中間業者が連携し、小売商材として仕掛けたり、外食用に新しいメニューを試作して、コスト計算を含めた具体的な提案をするケースもある。そんな提案からの新メニュー化を、外食サイドも待っているのだ。それに加えて、安定的な供給と価格を保証すれば、需要側も乗ってくれる環境となっている。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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