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江刺の稲

農業経営者たちの年頭所感

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第153回 2009年01月01日

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「日本農業を守れ!」という叫び声も、農業関係者の居場所作りのために語られるとすれば、自立した農業経営者の登場は、むしろ彼らの存在を危うくするものなのである。

本誌の創刊意図は、戦後的農政の残滓とも言うべき現在の農政、農業組織、農業構造あるいはそこにある文化的状況を乗り越えて、農業経営者たちを真に日本農業の経営主体として登場させることである。しかも、弱者としての農民が政治活動や行政、団体組織に対してそれを求めるのではない。顧客(マーケット)や社会に必要とされて選ばれていこうとする一人ひとりの農業経営者が、その自負と誇りにおいてそれを実現することである。また、風土や環境やそこにある暮らしと歴史の意味を知る農業経営者であればこそ、現代そして未来に向けても大きな役割を果たせるからだ。

簡単に言ってしまえば、農業関係者ではなく農業経営者こそがリードする農業界を作ろうということだ。そして、農業、農民の利害を守るためにではなく、農業経営者が理念を共有する異業種の人々とともに、国内外のマーケットに、そして未来に向けて役割を果たしていく。農業という最も古い産業でありながら、まだ我が国においては関係者の業界はあっても、農業経営者が主人公になる業界はまだ確立はされていない。そんな草創期の業界であればこそ、その夢と責務と誇りを、皆で語っていこうではないか。「金融危機だ」「農業の危機だ」と騒がれる今、農業経営者より寄せられた年頭所感は、意欲と希望に満ち、極めて読み応えがある。

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