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【『農業経営者』定例セミナー】
コメ価格暴落後の日本の水田経営
- 土門剛
- 第5回 2007年11月09日
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【『農業経営者』編集部からのセミナー解説】
本誌でコメ価格暴落をいち早く予見していた土門氏。事態が予測より早く来たという感想を漏らしつつ、「暴落は早く来たほうがいい。ドカンと来たほうが解決ははやい」という。
どういう農家が潰れていくか。土作りしていない、行政のいうことしか聞いていない農家だ。残っていく農家は土作りの質が違う。買い手は土質や田んぼを見て買っている。 米価を守るのに生産調整が大切なのは間違いない。ただ、売れる人も売れない人も同じにするのは間違いだ。そもそも生産調整の報告は嘘ばかりだ。減反が100%実施されていれば、米価は落ちないのだから。
地代が1反あたり2万5千円なら、40町なら1000万円払う。こんなに苦しくなっても法人協会も稲作経営会議も、地代を引き下げろという要求をしない。東北のようにコメでやっていかなくてはならない所ほど地代が高い。米価はコメの品質と産地で決まるのに、地代は兼業先収入で決まる。こんなおかしなことはない。地代にマーケットの論理が働いていないのだ。
来年も農家は皆コメを作るだろうが、再来年には冷静に考えて、そろそろやめはじめる。ところが農地を誰も引き受ける人がいない。そしたら今度は米価が上を向く。今年もそうだが、きちっと土づくりをしたコメの価格は落ちない。そして3年後には、そういうコメとカントリーに行くようなコメの、2つの価格体系に分かれるだろう。
農地の価格は今、路線価格で決まっているが、本来はそうではない。そのうち路線価格が低くても土の条件のいいところが、投げ売りされるようになる。その時はまっとうな稲作経営者の最大のビジネスチャンスだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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