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【『農業経営者』定例セミナー】
豊かさや贅沢を売るビジネス ~商品は栗ではなく、感性です~
- 四万騎農園 兵藤保
- 第16回 2008年06月28日
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「農業は保護されて当たり前と皆が思っていた時代、私は将来の農産物の輸入自由化に備えて、世界中の農業を見に行きました。敵情視察です。ヨーロッパ、中国、米国、オーストラリアと視察して、とてもかなわないと思った。唯一かなうのは、私たちが世界中で一番贅沢な消費者と、背中合わせに住んでいることの強み。それから徹底的に量を少なく、質を重視に切り替えました」
6月28日の定例セミナーは、茨城県の四万騎農園に訪問し、経営者である兵藤保氏にお話を頂いた。同園は日本で最大規模の栗苗木生産者で、同時に最高級品質の生栗を贈答品として通年販売しながら、加工品も製造販売している。定例セミナー初の現場視察の試みは、若手も多く参加して盛況。兵藤氏の経験に基づく農産物マーケティングについて示唆のあるお話を伺った。
「私の売る一番高い栗はキロ5040円。なんでそんな高い栗が売れるのか、とよく聞かれる。農家がなんで売れるのかと質問しているうちは、何の展望もない。同じ現象を反対側から、なぜ買うのかと考えはじめると、いろんな答えが出てくる」
日本は「生」が一番高く売れるという特異な消費構造の国だ、と兵藤氏。確かにキロ3万円のマグロに火を通したら、その価値はない。1個1万円の岡山の白桃を缶詰にしては売れない。生産現場に一番近い所にいる農家は、いかに生を高く売るか考えるべきだ。しかしマグロの刺身は生魚ではない、生の加工品である。兵藤氏の売る贈答品の生栗も、生の加工品なのだ。
その生栗の箱は、一流の画家に依頼して制作した。量から質へ、質から価値の時代になりつつある。顧客は、包みを開き、栗を味わい、農園を訪れ、経営者と語る、それぞれに驚きと価値の連鎖を受け取る。「歯を食いしばって苦労して作ったものなんか、売れません。遊びながら楽しんで作った本物を売る。顧客と同世界を共有して作るのです」
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兵藤保 ヒョウドウタモツ
四万騎農園
1934年茨城県生まれ。父の代から栗一途に栽培する四万騎農園の経営者。通常の何倍もの堆肥を入れ、広い樹間で養分を競合させない栽培法で、高品質の栗を栽培している。栗はマロンジャム、ふくませ煮、渋皮煮、きんとんにも製品化。農園には大谷石の石蔵があり、芸術家の個展やコンサートを年10回ほど開催している。
『農業経営者』読者の会 定例セミナー
月刊『農業経営者』読者の方に向けて、農業経営者や関連業界人を講師に招き、農場の成長、発展に役立つ定期セミナーを毎月(年間20回以上予定)開催しています。セミナーへは一般参加も可能です(5,000円/1回)。懇親会では、情報交換や人脈構築の機会を提供します。目的意識の高いほかの参加者との出会い・交流の場としてもご好評いただいています。
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