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【新・農業経営者ルポ】
これからの農業は“企画力”の勝負
- 谷農園 代表 小倉和久
- 第22回 2006年03月01日
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「農家っていうより、実業家とか経営者とか言われるんですよね。あとは運動家とか(笑)。僕のやっていることは、理解しにくい人にはわかりにくいかもしれません」と小倉さんは苦笑する。
たしかに、NPO法人を立ち上げたり、休耕地にナバナを植えてナタネ油をバイオディーゼルに使用する「なばなプロジェクトネットワーク」を立ち上げたり、森の再生を訴えて「ゆうきの森」という圃場を用意し、果樹を植えてもらうオーナー制、「みのり」プロジェクトを始めたりと、“運動家”のようでもある。
しかし、じつはこれらの活動が、小倉さんにとっては農業経営の一環になっている。「モノを売るだけの農業の時代は、もう終わり。これからの農業に大事なのは企画力」と話す。また、「人間も野菜もすべて自然の一部であることを忘れない心」という考えが小倉さんの一連の活動の底流にある。
たとえば、果樹オーナー制。ブルーベリー、イチジクなどの小さな果樹は1本3000円。ユズ、クリ、ヤマモモなどの大きな果樹は1本4500円で、オーナーに好きな品種を選んで植樹してもらう。植えてから2年は収穫を望めないが、そこは、木が育ち森が育つ時間そのものをオーナーに楽しんでもらう趣向だ。
3年後、木が育って収穫できるようになったら、オーナーが自分で収穫する。しかも、収穫物の半分を、これから建設予定の加工工房に提供してもらう。このオーナー第一期の募集に、190人が集まった。
「オーナー募集だから、人のお金で木を植える。契約期間は5年だから、それ以降は私たちのものになる。で、収穫物の5割を加工所に回すでしょう。そうすると、収穫の手間もいらないし、交流事業でお金が入って、実を摘んでもらってお金が入って、さらに加工品のアイデアを提案してもらって、それをまた販売する。今、もともとこの地方にあった果樹にどんなものがあるか、調べてもらっています。それを植えれば、10年後、20年後には、観光資源になるじゃないですか」 もちろん、単なるビジネスとしてこれを思いついたわけではない。「このあたりは、水田が2000ha、畑作地が500haあるんです。その畑作地のうち100ha近くが休耕地になっている。『みのり』は、荒れ地防止の意味が大きいんです」
伊賀市は京阪神や中京圏を近くに抱え、名阪国道のインターも近い。そんな場所に荒れ地が広がっていたら、産廃の不法投棄や処分場建設には好条件。交流事業によって絶えず人が出入りする場所にして、農地と水源を守りたいという思いもある。
「これからは心の時代。経営者としてのビジネスも大事だけれど、この人は喜んでくれるやろかという、もうちょっと大きな枠で考えながらビジネスをしたいなと思うんです」
たしかに、NPO法人を立ち上げたり、休耕地にナバナを植えてナタネ油をバイオディーゼルに使用する「なばなプロジェクトネットワーク」を立ち上げたり、森の再生を訴えて「ゆうきの森」という圃場を用意し、果樹を植えてもらうオーナー制、「みのり」プロジェクトを始めたりと、“運動家”のようでもある。
しかし、じつはこれらの活動が、小倉さんにとっては農業経営の一環になっている。「モノを売るだけの農業の時代は、もう終わり。これからの農業に大事なのは企画力」と話す。また、「人間も野菜もすべて自然の一部であることを忘れない心」という考えが小倉さんの一連の活動の底流にある。
たとえば、果樹オーナー制。ブルーベリー、イチジクなどの小さな果樹は1本3000円。ユズ、クリ、ヤマモモなどの大きな果樹は1本4500円で、オーナーに好きな品種を選んで植樹してもらう。植えてから2年は収穫を望めないが、そこは、木が育ち森が育つ時間そのものをオーナーに楽しんでもらう趣向だ。
3年後、木が育って収穫できるようになったら、オーナーが自分で収穫する。しかも、収穫物の半分を、これから建設予定の加工工房に提供してもらう。このオーナー第一期の募集に、190人が集まった。
「オーナー募集だから、人のお金で木を植える。契約期間は5年だから、それ以降は私たちのものになる。で、収穫物の5割を加工所に回すでしょう。そうすると、収穫の手間もいらないし、交流事業でお金が入って、実を摘んでもらってお金が入って、さらに加工品のアイデアを提案してもらって、それをまた販売する。今、もともとこの地方にあった果樹にどんなものがあるか、調べてもらっています。それを植えれば、10年後、20年後には、観光資源になるじゃないですか」 もちろん、単なるビジネスとしてこれを思いついたわけではない。「このあたりは、水田が2000ha、畑作地が500haあるんです。その畑作地のうち100ha近くが休耕地になっている。『みのり』は、荒れ地防止の意味が大きいんです」
伊賀市は京阪神や中京圏を近くに抱え、名阪国道のインターも近い。そんな場所に荒れ地が広がっていたら、産廃の不法投棄や処分場建設には好条件。交流事業によって絶えず人が出入りする場所にして、農地と水源を守りたいという思いもある。
「これからは心の時代。経営者としてのビジネスも大事だけれど、この人は喜んでくれるやろかという、もうちょっと大きな枠で考えながらビジネスをしたいなと思うんです」
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小倉和久 オグラカズヒサ
谷農園
代表
京都府の都心近郊農家に生まれる。京都府立農業大学校を卒業後、三重県上野市で農業を営む。一方で環境問題の研究会に参加し、自然から学んだことなどを広く伝える
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