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新・農業経営者ルポ

農村が最先端に躍り出る日

宮崎県南部・都城市を中心に野菜専業の大規模経営を展開する(有)新福青果。社長の新福秀秋は「農業界の矛盾」に気付き、産直事業、集荷業から法人化。生き残りをかけて「企業農業の完成形」を目指してきた。その発想は従来の枠を越え、地域への想いは熱く、深い。(秋山基)
 その語調は、あけすけなぐらいに明るく、言葉が渦を巻くようにあふれ出す。

 「面白いよ、農業は。こんな面白い世の中が来るとは思ってなかった。技術は日進月歩。情報の差が収益の差として表われる。戦略的には難しくなったし、考えることも多くなった。だけど、ハードルが高いから楽しいんだよ」

 新福秀秋が社長を務める(有)新福青果は、現在、直営農場72haを構え、サトイモ・ゴボウ・ニンジン・ラッキョウなどの根菜類を生産。加えて、宮崎・鹿児島両県の農家667戸との契約で多品目の野菜を集荷する。販路は量販店、生協や中食メーカー、冷凍食品会社、レストランチェーンなど計60社以上。供給先は沖縄県から北海道にまで及ぶ。

 2004年、香港にサトイモ・ゴボウを輸出し始め、まもなく、これにサツマイモが加わる。昨年12月からは、野菜の味付けや冷凍処理までできる新加工場も稼動させるなど、経営は新たな段階に入った。

 一見、その展開ぶりは派手に映るが、新福は会社の現状に満足せず、むしろ危機感を募らせる。

 「近い将来、多くの農業生産法人はコスト減の限界に直面すると思う。法人経営1万体を目指すと行政は言うけど、本当は大変な時代が来る。国も自治体も、みんなまだ気付いていないんだ」

 下がった目尻の奥にある眼は、

 “面白き世”にひそむ苛烈さを見つめる。

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