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【新・農業経営者ルポ】
島にブランドを取り戻せ
- 上村ファーム 代表 上村英樹
- 第19回 2005年12月01日
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9月末の快晴の奄美諸島。亜熱帯の海は青く、夏の盛りを過ぎた日差しが心地良い。
「残念ですけど台風の余波で海には出られないのですよ」 潮目が最高だからと訪問の日程を指定してきた上村は、迎えに出た沖永良部空港で予定の変更を詫びた。沖永良部に来たら、まずは上村のクルーザーで遊ぼうということになっていたのだ。年甲斐もなく鞄に入れてきた水着と水中眼鏡が気恥ずかしく思えてきた。見かねてか、上村は「港の中だけでも乗りましょうか?」と誘ってくれた。
クルーザーを持つに至った経緯がいかにも上村らしい。以前、島の役場の外郭企業であるホテルに宿泊者向けのクルージングサービスを提案した。話が盛り上がったものの結局は沙汰止みとなった。そしてクルーザーは言い出しっぺの上村が買い受けた。
上村は中学時代に父を、高校2年生の時に母親を亡くしている。その時、妹が高校を出るまでは二人で頑張ろうと兄妹で決めた。そうして生きてきた自信からか、進むべき道の選択に躊躇はない。良いと思えば人々に働きかけ行動にでる。当然その始末にも責任を取る。クルーザーもその結果なのだ。しかし、損得を斟酌するより、良き結果に目を向ける心の持ちどころが上村にはあるようだ。そもそも、宿泊客にクルージングのサービスをと提案したホテルは、上村が35歳の時に脱サラして始めたビルメンテナンス業の顧客である。
買ってしまったのだから仕方がない。船酔いする体質だった上村は船舶の免許を取り、今ではクルージングと釣りが最高の楽しみであり、彼の人付き合いの大切な手段になっている。そんな上村は今、沖永良部島の農業に新しい波を起こそうとしている。
「残念ですけど台風の余波で海には出られないのですよ」 潮目が最高だからと訪問の日程を指定してきた上村は、迎えに出た沖永良部空港で予定の変更を詫びた。沖永良部に来たら、まずは上村のクルーザーで遊ぼうということになっていたのだ。年甲斐もなく鞄に入れてきた水着と水中眼鏡が気恥ずかしく思えてきた。見かねてか、上村は「港の中だけでも乗りましょうか?」と誘ってくれた。
クルーザーを持つに至った経緯がいかにも上村らしい。以前、島の役場の外郭企業であるホテルに宿泊者向けのクルージングサービスを提案した。話が盛り上がったものの結局は沙汰止みとなった。そしてクルーザーは言い出しっぺの上村が買い受けた。
上村は中学時代に父を、高校2年生の時に母親を亡くしている。その時、妹が高校を出るまでは二人で頑張ろうと兄妹で決めた。そうして生きてきた自信からか、進むべき道の選択に躊躇はない。良いと思えば人々に働きかけ行動にでる。当然その始末にも責任を取る。クルーザーもその結果なのだ。しかし、損得を斟酌するより、良き結果に目を向ける心の持ちどころが上村にはあるようだ。そもそも、宿泊客にクルージングのサービスをと提案したホテルは、上村が35歳の時に脱サラして始めたビルメンテナンス業の顧客である。
買ってしまったのだから仕方がない。船酔いする体質だった上村は船舶の免許を取り、今ではクルージングと釣りが最高の楽しみであり、彼の人付き合いの大切な手段になっている。そんな上村は今、沖永良部島の農業に新しい波を起こそうとしている。
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上村英樹 ウエムラヒデキ
上村ファーム
代表
1960年、鹿児島県大島郡知名町(沖永良部島)生まれ。高校卒業後、地元の町役場に勤めるが一年で退職。人生の師となる人が経営する島の乳業会社に35歳まで勤務。その後、ビルメンテナンスの会社を経営するとともに、沖永良部の特産品であるジャガイモの生産に取組み、今、改めての産地ブランド確立に向けて仲間の農家を組織化しようとしている。
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