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新・農業経営者ルポ

語り、伝え、消費者に媚びない農業を

専業農家の主婦・新開玉子さんは、1999年、補助金を一切受けずに女性だけで直売所を開設。年商2億円の店に育てた。コンセプトは“産地から心をこめて”。「今までの農家は、下を向き腰を痛めて土を耕してきたけれど、都会のひとの心は耕してこなかった」という新開さんの言葉には、彼女が長年抱き続けてきた農業への思いが込められている。(榊田みどり)
作るものに責任を持てないなら農業をやめたほうがいい

 すっかり都市化が進んだ福岡市南区で、今や数少ない専業農家となった新開家。地域で“耕すおばちゃま”とも呼ばれる新開玉子さんは、やさしい笑顔が印象的な女性だが、こと農業の話になると、その口からはシビアな言葉が飛び出す。

 「BSEのとき、飼料に何が入っているかわからなかった、自分たちは被害者だと農家が言っていたけれど、飼料の内容を知らなかった農家にも責任はあると思います。確かに国の責任も重いけれど、プロなら自分の売るものに責任を持たないと」

 「農水省はやる気のある農家を支援していく方向へ、これからシフトしていきます。やる気のないひとはやる気のあるひとに農地を貸してあげてください。女性でも年間500万円は稼ぐようにがんばりましょう。女性農業者向けの講演に呼ばれるとそう話しているんです」

 そんなことをさらりと言ってのける、プロ意識に徹した“過激なおばちゃま”でもあるのだ。

 1999年には、JAや行政の助成をいっさい受けず、仲間の女性5人との共同出資で有限会社を作り、農産物直売所「ぶどう畑」をオープンした。

「農業は補助金だらけと都会のひとに思われたくない。自分たちの力で自由にやりたかった」と言うあたりも、ただものではない。 しかもこの「ぶどう畑」、店から徒歩1分という至近距離に西鉄ストアの大型店舗があるにもかかわらず、年商2億円を超える堂々たる人気店に育ち、2003年には借入金を完済。今年3月には、NHK日本農業賞の「食の架け橋賞」優秀賞にも選ばれるなど、今や、新開さんは女性農業者のリーダー的存在である。その新開さんは言う。

 「今までの農業は、汗を流さず、種も蒔かず農業を知らないひとたちが動かしてきた。これからは、農業者が正しい食の情報を消費者にきちんと伝えなければ大変なことになる。農産物を媒体に、消費者に農の心を伝える拠点づくり、都市と農村をつなぐ直売所づくりは、長い農業人生の中でみつけた夢だったんです」

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