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新・農業経営者ルポ

父と地域と自分とで育てたブランド茶

限られた市場と販路海外に新たな顧客求める

 鈴木は今年35歳。共同組合ではいまだに最年少だ。「一番下っ端だし気が楽だ」と言う。

 そうは言っても、有機認証の事務や会計、広報担当と、共同組合の事務を一手に引き受けている。

 減価償却費を積み立てた貸借対照表を見せると、初めの頃は共同組合のメンバーからは「お金、あるじゃん」と言われた。「なるほど、どんぶりってこんなことかとよくわかった」と鈴木は言う。

 茶農家は機械の共同利用だけする持寄共同が多いので機械の更新時にまたお金がかかってしまう。鈴木の組合では主な機械の償却をようやく終えて先が見えてきた。これからは償却が減った部分を使わないでいかに手綱を引き締めるかです、と人知れず財政を切り盛りしている。

 父親は、「息子はナンバーツーで人を立てる子だ。それがなぜか実質ナンバーワンになっている」と言う。人の話をよく聞き、人を立てながら、組織にとって何が良いか見極める。そんな鈴木だからこそ、共同組合の中心的役割が務まるのだろう。

 「これから、会計や事務の仕事は他の人でもやれるようにしたい。そうして、もっと作物と向き合う時間を取りたい」と鈴木は考えている。農家だから、これからもメインは栽培だと言う。

 「正直言って栽培ではまだまだ劣る。もっと突き詰めなければいけない。そのためにも川下での有機のお茶の利用の仕方を見つけ、それに合わせて品種の段階から栽培方法まで全部含めて新しく作り出したい。そこまでしないと、有機栽培だから何がいいのか、今の段階では訴えられるものはない」

 川下のニーズを見つけるための鈴木のフットワークは軽い。県内の産業祭りなどのイベントは積極的に参加している。固定客は着いてきてくれると思うが、それ以外の人々のニーズは、いつの間にかダイナミックに変化している恐れがある。それが起こっていないか確かめるためだと言う。また、地元の神社でも土日にイベントをやる。そうやって少しでも直接の反応を見るようにしている。

 最近では、そこで企業との取引も始まった。サプリメントに入れるため無農薬の茶が欲しいという話だ。米国から日本に来ている黒人の教師が訪ねてきたこともある。友人が米国でジューススタンドをやっているのでそのジュースに混ぜたい、と言うのだ。11月には静岡県主催の「世界お茶まつり2004」に出展し、海外からの引き合いも新たにきていると言う。

 有機栽培と言っても茶の市場は限られているし、国内の販売ルートも限られている。そうすると緑茶以外の利用の仕方を考えるか、他の販売ルートを考えるしかない。

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