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新・農業経営者ルポ

勇気一つ。世界へ突き抜ける日へ

 人は視野を狭く持てば、ムラの中にしかいられない。しかし、いったんムラを吹っ切れば、一気に世界が広がる。「勇気一つで、どこまででも行ける」と、その時片岡は感じた。帰国後、JAから3000万円の融資を受け、トラクタ2台と各種作業機、それに4tトラックなど、必要な機械をすべてそろえた。


畑作の面白さに目覚めジャガイモ作りへ

 転作作物には「捨て作り」という言葉がある。生育が悪ければ、収穫もせずに株を砕き、さっさとソバを播いてしまうような農家もいる。だが、片岡は「大豆を通じて畑作の面白さに目覚めた」と語る。

 麦作の後、土の乾き具合を見てサブソイラをかけ、プラウで起こす。砕土、鎮圧し、播種。元肥としては過燐酸石灰と尿素をまく。

 雑草の多い転作田では、多い所で4回は中耕培土する。カルチベータにも施肥機を付けて、必要に応じて尿素を補えるようにした。「考え方としては追肥ではなく、分肥。大豆に窒素は必要ないと言う人もいますが、私は必要だと思う」

 生育ステージに合わせた施肥によって大豆がよく育ち、雑草を抑えられる。除草剤は播種時に1回。反当たり501を低圧ノズルで散布する。

 2000年からは、本誌の経営実験に参加し、カルビーポテト㈱との契約でジャガイモの栽培にも取り組んでいる。市内から車で片道1時間かかる丘陵地に空いた農地が見つかり、2年前には10haの作付けにも挑んだ。

 「あれは失敗。規模の大きさに憧れがあるものだから、やってやろうと思いましたが、甘かった。忙しすぎて精神的に追い詰められるし、その分、管理も行き届かない」

 その年は反収も伸びず、売り上げは、面積の割に少なかった。このため現在は自作地のある地区と、親しいブロッコリー生産者との輪作で、計3haほどに減らしている。しかし、いずれ補助金制度が改められれば、転作大豆を減らし、ジャガイモの作付けをもっと増やせるのでは、とも考えてきた。

 その思いを打ち砕くような出来事が今年起きた。


地主のエゴとムラの呪縛

 片岡は2001年から、実家のある地区で集団転作にかかわってきた。平均60?70aの水田を持つ兼業農家らと調整し、地区で計2haの減反を固める。片岡は地主に代わって麦・大豆を作り、転作奨励金として地主が反当たり6万3000円、片岡は高度利用加算金の1万円を受け取る。転作田はブロックローテーションで順番に回すという取り決めだった。

 しかし、昨年、コメ政策の転換で、奨励金の先行きが不透明になると、地主の間に動揺が広がった。要件の2haがどうしても満たせず、仕方なく、転作面積を1・7haに減らすことになった。

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