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しかし、経営には思い通りにならないことも山ほどある。むしろ、思い通りに行かないことの方が多いのかもしれない。それでも不思議なことに、してきた困難は忘れ、人々との出会いや人生の幸運ばかりが記憶に残るのはなぜだろう。人の心とはそういう仕組みになっているのかもしれない。そして、そんな楽天主義が未来を明るく照らしてくれるのかもしれない。染野の生き様もそんな風に見える。それがあの笑顔の力なのだろう。
先ごろ、長く勤めた社員が賞与のことを理由に退職した。寂しかった。経営の将来を考えてそうせざるを得かったのだが、彼の理解は得られなかったのだ。幸運にも後に残った社員に動揺はない。先輩がいなくなることでの寂しさが無いわけはなかろうが、染野には、それが若い社員の成長を促しているようにも見える。
従業員と経営者は、立場だけでなく、生きてきた経験も思いも違う。皆が経営者という役を果たせるわけでもなく、その必要もない。でも、染野は単に労働を提供する対価として賃金を払うだけでなく、後継者を育てながらも共に働く仲間や家族たちに、誇りと未来を示してあげたいと思っている。かつて、父・要が、世間の常識を否定しつつ、染野に背中で教えてくれたように。その本質は変わらないまま、現代の農業経営であればこそ、社員や子供たち、そしてソメノグリーンファームにかかわる全ての者たちに、染野の振る舞いを通して農業の将来を、そして個人の未来を信じてよいのだということを伝えたいと願っている。(文中敬称略)
父から学んだことをどう伝えるか?
先ごろ、長く勤めた社員が賞与のことを理由に退職した。寂しかった。経営の将来を考えてそうせざるを得かったのだが、彼の理解は得られなかったのだ。幸運にも後に残った社員に動揺はない。先輩がいなくなることでの寂しさが無いわけはなかろうが、染野には、それが若い社員の成長を促しているようにも見える。
従業員と経営者は、立場だけでなく、生きてきた経験も思いも違う。皆が経営者という役を果たせるわけでもなく、その必要もない。でも、染野は単に労働を提供する対価として賃金を払うだけでなく、後継者を育てながらも共に働く仲間や家族たちに、誇りと未来を示してあげたいと思っている。かつて、父・要が、世間の常識を否定しつつ、染野に背中で教えてくれたように。その本質は変わらないまま、現代の農業経営であればこそ、社員や子供たち、そしてソメノグリーンファームにかかわる全ての者たちに、染野の振る舞いを通して農業の将来を、そして個人の未来を信じてよいのだということを伝えたいと願っている。(文中敬称略)
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染野実 ソメノミノル
(有)ソメノグリーンファーム
代表
1960年茨城県生まれ。茨城県板東市。1980年、茨城県立農業大学校卒業後、家業の農業に就く。パイロットになる夢が消え、自暴自棄になって進んだ農業大学校は同級生より一月遅れで卒業した。そんな染野は、父の元で働くことの中で茨城県を代表する農業経営者の一人に成長した。2011年、経営面積は水田36ha、畑45ha(麦29ha、ジャガイモ6ha、陸稲10ha、ソバ12haを二毛作する)。売上1億4,000万円。
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