ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

編集長インタビュー

志を同じくする仲間をネットワークし、農業を通じて今の日本社会を変革したい

宮治 生産者という言葉にどうして侮辱を感じないのかって思うんですよね。お前らは作っているだけっていう、最大級の侮辱の言葉なのに。にもかかわらず、自信をもって「私たちは生産者です」って言うじゃないですか。経営者って言われたら他者に対する印象ももっとよく変わってくると立派に思うんですけどね。

脇坂 「農業は特殊だ」だって、ベルリンの壁があるくらいの言い方がされてきましたよね。僕はサラリーマン家庭だったんで、ひとつの産業でしょうとしか思わなかったのに、内部に入るとやたら深い谷底があってわけ分からないうめき声が聞こえたのは驚きでした(苦笑)。

昆 こせがれに集まる、一般の人、農業に興味がある人ってどんなタイプ? いわゆる「有機農業が絶対にいい」と信じ込んでるタイプの人が多いんじゃない?

宮治 いえ、少ないですよ。いわゆる民度の高い人たちが多いですよね。社会の不安だとか資本主義のゆがみだとかを感じて農業を応援したいだとか、高層ビルで働いているので、もうちょっと癒しが欲しいとかっていう人ですね。

昆 それはいいね。いい会社にいても与えられない満足っていうのは、心のエントロピーが増大しているということ。農業を新しいステージに上げていくときには、お偉いさんが声をかけるよりも、価値観や世代が変わらないみなさんが声をかけることの方が効果は抜群だから。

宮治 「農業ってこんなに楽しいでしょう? 俺らこんなに楽しくやっているからみんな仲間にならない?」っていうノリでできると、本当にいろんな人が集まってくるかなって思いますよね。高杉晋作の言葉で「おもしろきこともなき世をおもしろく」が大好きなんですが、農業を軸に日本を面白くしていきたいというのが僕らの夢なんです。

昆 農業っていうと、大変だ、とても立派な産業だっていう感じがある。では、ほかの産業に勤めている人は身分が低いのか? ってことになる。相変わらず江戸時代にお上に作られた身分制度にしがみついているのが農業世界で、それは役人や政治家の思うつぼだから。

 とにかく、若い世代にはいろんなことでやっていってほしいと期待します。いい時代になったなって感じますよ。あなたたち、その幸せをかみしめながら、たとえば寡黙だった父親とコミュニケーションを取る中で、こせがれ世代が感じることってあるでしょう?仕事に対するこだわりやうんちくとか、体験とか、世間一般では意味のない言葉でも自分が聞いたことで感じる愛着とか、存在の大きさとか。

宮治 ありますね、リアル農家たちもそこに思いを寄せることがあるはずです。

昆 そういった人々の営みの歴史と呼ぶべきものに目を向けながら新しいことに挑戦し、乗り越えていってもらいたいと思います。本日はありがとうございました。

関連記事

powered by weblio