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今年の市場相場を読む

貯蔵性のある周年型野菜のメリハリ

貯蔵性があるため、周年に渡って供給できる品目群がある。主に土物類である。そこに周年需要ができあがる。列島を南から北へと産地リレーしながら供給される品目とは異なり、これらの品目は産地がほぼ固定され、それゆえに品種や品質が安定していて、需要者側には使いやすい。供給が安定していることは半面、販売にメリハリがつかない嫌いがあり、需要の底上げという意味では不利な状況にもある。旬の訴求や新品種による需要開発などが、これらの品目には必要になってくる。基本的な需要で支えられている分、新たなチャレンジが即、需要量の上乗せになってくるはずだ。
ゴボウ 伝統的産地と新興産地の役割が。目先を変えた提案が浸透

【概況】
東京市場のゴボウは、シェア46%と他産地を圧倒する青森、続く茨城が代表的な周年供給産地となっている。それに続く群馬、埼玉などを「関東産地」という括りにすると、これだけで3割のシェアがある。一方、西の産地としては熊本、宮崎、鹿児島などが中心で、春に出荷の割合が高い。需要期は秋以降で、12月にピークがある。かつて多かった中国産の入荷は、5%程度にまで落ちている。

【背景】
青森、茨城は、ともに歴史あるゴボウの貯蔵・加工産地である。また関東に出荷産地が多いのも、大型消費地である首都圏という立地と関係がある。貯蔵、洗浄、袋詰めなどの加工機能との抱き合わせで、供給を安定させている。小売、需要者側には非常にありがたい機能であり、価格の安定にも寄与している。このように需要の基幹部分への供給体制は整っているが、旬や季節性などを訴求して販促を仕掛けるような対応力はない。

【今後の対応】
近年、春ゴボウや新ゴボウのような旬の訴求や、外食関係でもフリッターやチップ形態など、新しく若年層向けのメニュー提案をしている例が目立つ。しっかりした周年供給体制と調整機能が前提にあるため、外食側でもメニュー化がしやすい事情がある。地味な品目での意外性、という着眼もあるだろう。新興の季節性の強い産地が、消費者や業務用に対して積極的に提案し、ゴボウの需要全体をけん引するくらいの意欲がほしいものだ。

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