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新・農業経営者ルポ

利根川の向こうに見たパプリカが描く未来

 とはいえ、当時のパプリカは、国内の種苗会社で種子が取り扱われていないほど。当然ながら栽培ノウハウも国内にあるわけがなく、林氏は頭を抱える日々を過ごしていた。

 そんな中、ひょんなことから知り合ったオランダ大使館の知人に悩みを打ち明けたところ、願ってもない力添えを受けることになった。なんとオランダの施設園芸専門学校に、短期だが留学できる運びになったのだ。通常は最短でも半年かかるコースを1カ月でこなすというハードスケジュールだったが、ここで得た経験は、その後のパプリカ栽培に大いに参考となった。

 現在、7作目に入ったパプリカの反収は12~13tほど。オランダの平均が25~26t、韓国でもトップクラスでは20tを越えるというから、まだまだ満足できるレベルではないが、80aでどうにか年間100tを出荷できるまでになった。

 今のところ販売先は、約半分が全農VFS経由の市場出荷。残り半分が量販店、生協、学校給食、ホテル、レストランへの直接販売である。市場出荷分は、相場連動を含め平均でキロ600円くらいだが、直販価格は700~800円ほど。悪くない数字である。

 需要に対して供給が間に合わず、引く手数多の状態だが、販売チャンネルの確保に対する林氏の姿勢は慎重だ。

「地元のスーパーさんからも全店舗にと言われるんですが、現状は一部の店舗にしか出荷していません。うちの供給ラインが細すぎるせいもありますが、100ケース買ってくれるお得意さんが1軒いるよりも、10ケース買ってくれるお客さんを10軒持った方が自分の足腰としては強いと思うんです」 たしかに量販店などの場合、バイヤーが変わるだけで、会社が変わったかと思えるくらいに取引関係が激変することがある。リスクの分散という意味でも、堅実な対応だ。

 一方で林氏は、国産需要を喚起するための付加価値作りに余念がない。2003年のエコファーマー認定に続き、2006年にはJGAP認証も取得した。水耕栽培のため有機とも名乗れない商品に、少しでも第三者のお墨付きを与えようという取り組みである。


パプリカが照らす未来 林氏が目指すものとは



 現在、テディが栽培するパプリカは、すべて冬春の作型。この規模で出荷する農家は関東ではテディだけであり、ただでさえ品薄状態であるのに、夏から秋にかけては完全に欠品する状態が続いていた。

 これではせっかく築いたバイヤーとの関係も、空白期間にうちに風化しかねない。次のシーズンが始まってみたら、オランダ産にすっかりニッチェを奪われている、ということも十分に考えられる。

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