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今年の市場相場を読む

入荷量が激減した輸入野菜

中国産の野菜類の輸入が激減している。当然、市場への入荷量も減少しているため、品目によっては平均単価が高騰しているものもある。「国産野菜の単価が下がったのは、輸入野菜のせいだ」と思ってきた生産者にとっては、久方ぶりの高値で意を強くしている向きもあろう。しかし、現在の高値は高品質による評価ではなく、単純に数量が少ないための高騰であり、この状態を国内産地が放置しておけば、中国産からほかの国へと横滑り的なシフトが増えるだけである。輸入が減り、市場への入荷量が減った品目と、その背景などをよく検証することで、国内産地の方向性が見えてくる。
サヤエンドウ 中国産退潮に国産減が重なる。国内産地の奮起が待たれる

【概況】東京市場のサヤエンドウは、05年から入荷が減少し始め、07年には前年比36%減、単価は4割以上高くなった。これは中国産が半分以下に減り、前年のシェア56%が38%にまでダウンしたことが直接の原因である。さらに国内産地も前年並みか減少した産地があり、入荷減・単価高に拍車をかける結果になった。この緊急事態に、中国産代替のベトナム産が前年より4倍以上の入荷増となった。

【背景】小売店に豊富に出回っていた中国産のスナップエンドウは、今は影も形もない。愛知など一部の国内産地のものは、単価が3倍くらい。これでは消費者の手が伸びない。東京市場の入荷を見ても輸入品が52%も減ったのに、国産がそれをカバーできず、全体で36%もの減少となった。年間平均単価で870円という価格は、業務用やスーパーの品揃え商材にかろうじてハマる水準である。ベトナム産などがこれからどれだけ代替できるかが焦点だ。

【今後の対応】どの卸売会社も、産地に対してスナップエンドウの増産や新規導入を勧めている。中国産によって創造されたマーケットだが、年間を通じて消費される初めての「売れ筋」豆類だっただけに、小売店のダメージは大きいのだ。既存産地は単価高に沸いているが、このまま放置するとベトナムやタイ、フィリピンなど新たな海外産地が誕生してしまう。せっかく形成されたスナップエンドウのパイを、黙ってほかの国に食わす手はない。国産の奮起が望まれる。

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