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【リレー訪問 農場に勤める誇りと夢】
農家の社会貢献に対する評価
- (有)ジェイ・ウィングファーム(愛媛県東温市)×(有)竹内園芸(徳島県板野町) 生産部門×IT・システム担当 齋藤碌×山中高志
- 第23回 2008年05月01日
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山中 僕の実家は農家なので、水路や畦草の管理もしていました。その大変さはわかりますね。
齋藤 畦草の管理にしても、草刈機に燃料費をかけてやったところで農家の収益が上がるわけではないんですが、それでもやるのは、地域の人や隣の田に迷惑をかけたくない、そういう気持ちが農家にはあるからなんです。にもかかわらず、農道を散歩道として使っている人が、「草を刈れ」と、その農家の土地でないところについてクレームを言ってくることもある。
山中 非農家の人にとっては、それが当然のように思えるんでしょうね。
齋藤 そうなんです。こういった農家がしている事は景観を良くすることにもつながっているし、もし金銭的な価値で評価したなら、かなりの額に相当する様々な効用を地域にもたらしているはずなんです。農家自身も当然のようにやってきたことなので、お金云々と言うわけではないのですが、農家はなんて評価されないボランティアをしているんだろうなと思いましたね。こういったことはないですか?
山中 ボランティア的な作業も多少はあります。でも、供給責任というのもありますからね。といっても、うちの会社は種を買ってきてハウスの中で育苗している工場のようなものなので齋藤さんとは視点が少し違うかもしれません。
齋藤 田んぼで水を使うのが農家だから、それに関わる作業は農家がする。それも分からなくもないのですが、農村というのは、お互いを気にとめ合うことで一つの共同体として存在できていると思うんです。お金儲けという意味では農家がしていることは合理的ではないかもしれませんが、村という地域があって生かされていると考えると合理的なんですよ。そういった地域で生きていくには、やはり地域の歴史や人間関係にも配慮しないといけないし、当然のように村の中にあるものでも管理している人がいるわけで、当然だと受け止めてはいけないと思うんですけどね。
山中 非農家の人は農業が抱えている事情を知らないわけだし、どう捉えたらいいのか難しい問題ですね。
齋藤 今のような状況になったのは、やっぱり物が溢れ過ぎているし、みんな小金持ちになって何でもお金で取引できるというような感覚を持っているからなのかもしれませんね。それに、まれにあるクレームの内容からも感じるのですが、一般的な価値観として工業製品と農産物が同じ秤で計られ過ぎているような気もしています。部品それぞれに個性があったらいけない、それが工業製品ですよね。でも農産物の場合は、お天道様相手ですし、実質的に100%同じものはないわけです。でも、そういう風な認識はされていない。その辺りの線引きはどうなっているんでしょうね。
齋藤 畦草の管理にしても、草刈機に燃料費をかけてやったところで農家の収益が上がるわけではないんですが、それでもやるのは、地域の人や隣の田に迷惑をかけたくない、そういう気持ちが農家にはあるからなんです。にもかかわらず、農道を散歩道として使っている人が、「草を刈れ」と、その農家の土地でないところについてクレームを言ってくることもある。
山中 非農家の人にとっては、それが当然のように思えるんでしょうね。
齋藤 そうなんです。こういった農家がしている事は景観を良くすることにもつながっているし、もし金銭的な価値で評価したなら、かなりの額に相当する様々な効用を地域にもたらしているはずなんです。農家自身も当然のようにやってきたことなので、お金云々と言うわけではないのですが、農家はなんて評価されないボランティアをしているんだろうなと思いましたね。こういったことはないですか?
山中 ボランティア的な作業も多少はあります。でも、供給責任というのもありますからね。といっても、うちの会社は種を買ってきてハウスの中で育苗している工場のようなものなので齋藤さんとは視点が少し違うかもしれません。
齋藤 田んぼで水を使うのが農家だから、それに関わる作業は農家がする。それも分からなくもないのですが、農村というのは、お互いを気にとめ合うことで一つの共同体として存在できていると思うんです。お金儲けという意味では農家がしていることは合理的ではないかもしれませんが、村という地域があって生かされていると考えると合理的なんですよ。そういった地域で生きていくには、やはり地域の歴史や人間関係にも配慮しないといけないし、当然のように村の中にあるものでも管理している人がいるわけで、当然だと受け止めてはいけないと思うんですけどね。
山中 非農家の人は農業が抱えている事情を知らないわけだし、どう捉えたらいいのか難しい問題ですね。
齋藤 今のような状況になったのは、やっぱり物が溢れ過ぎているし、みんな小金持ちになって何でもお金で取引できるというような感覚を持っているからなのかもしれませんね。それに、まれにあるクレームの内容からも感じるのですが、一般的な価値観として工業製品と農産物が同じ秤で計られ過ぎているような気もしています。部品それぞれに個性があったらいけない、それが工業製品ですよね。でも農産物の場合は、お天道様相手ですし、実質的に100%同じものはないわけです。でも、そういう風な認識はされていない。その辺りの線引きはどうなっているんでしょうね。
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齋藤碌×山中高志 サイトウロク×ヤマナカタカシ
(有)ジェイ・ウィングファーム(愛媛県東温市)×(有)竹内園芸(徳島県板野町)
生産部門×IT・システム担当
さいとう・ろく●1981年生まれ。愛媛大学農学部在学中からアルバイトとしてジェイ・ウィングファームに勤務。2003年同大学卒業後、(社)国際農業者交流協会の海外派遣プログラムに参加し、米国の畜産農家で2年間研修。05年帰国、ジェイ・ウィングファームに復帰。現在、入社3年目。主に生産部門を担当。 やまなか・たかし●1977年生まれ。2002年、徳島大学大学院エコシステム工学専攻修了後、建設機械の製造・販売を行なうコベルコ建機(有)入社。海外部品グループに配属。07年、野菜苗・花苗を生産する(有)竹内園芸に入社。現在、IT・システム担当。
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