ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

リレー訪問 農場に勤める誇りと夢

農家の社会貢献に対する評価

  • (有)ジェイ・ウィングファーム(愛媛県東温市)×(有)竹内園芸(徳島県板野町) 生産部門×IT・システム担当 齋藤碌×山中高志
  • 第23回 2008年05月01日

  • この記事をPDFで読む
    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ
山中 うちの商品の場合で考えると工業製品という考え方は必要なんです。個人的には、苗は品質が安定しない工業製品だと思っています。もちろん天候に左右されることもあるんですが、基本的に受注生産ですし、顧客のリクエストに100%答えることを目指して取り組まないといけない。そうすると結果的にこういう考え方になるんですよね。育苗業界はそういう世界になりつつあると思います。

齋藤 顧客の要望に応えるという点は、うちの農場も同じです。契約栽培をしていますし、お金もいただくわけで顧客が満足するようなものを出さないといけない。それを実現できるように調整するのがプロの仕事だと思っています。ただ、農業やそれに付随する根本的な点、例えば農業が効率と非効率を合わせ持っている点などについて、あまりにも理解されてないなと感じるんです。

山中 うちは農家さん相手の商売でもあるので、その点で顧客の反応に違いがあるのかもしれませんね。

齋藤 僕は、農業は文化などすべての根源だと考えています。祭りもそうですよね。農業が地域の景観やコミュニティもつくってきた。その中で知恵を学んですべてを総括的に管理しているのが百姓なんだと思います。だからこそ利益追求の範囲だけで農業は語れない。次の世代には農業を通じて、こうした生き方や哲学なども伝えていきたいと思っています。

山中 将来のビジョンも具体的に描かれているんですか?

齋藤 いえ、今はとにかく誇りを持った百姓になりたいというだけで、将来までは考えられないですね。ただ……話が逸れるんですが、音楽好きの百姓でバンドを組めたらいいなとは思ってはいます(笑)。

山中 バンドですか(笑)。

齋藤 ハイ。社長ともよく話すんですよ。海外農業研修では米国のカウボーイのところにお世話になったわけですが、彼らは月に1度、ロデオ大会のようなイベントを開いて、その晩はカントリーバンドも呼んでみんなで踊ったりする。それが格好いいんですよ。そういう明るい文化が日本の農業にもあっていいんじゃないかと思うんです。

山中 日本の農業に、そういった華やかさはないですよね。

齋藤 カウボーイソングというのもあるんですが、肉体的にもきつくて危険も伴う仕事をしているカウボーイのこと、要するに百姓のことを歌っているんです。だったら現代の日本の百姓について歌ってもいいんじゃないのかなと。こうして自分たち自身も楽しみながら農業のことを伝えられたら百姓のイメージも変わると思うんですけどね。

関連記事

powered by weblio